いまだに意味がわからないので、誰かに教えてほしいことがあります。
テレビから、映像がびゅーんと飛び出してくるのです。
あれは一体何だったのか。
2006年のことです。ですから、もう二十年ちかく前の話です。
僕たちオーサカモノレールは、はじめてヨーロッパへ遠征しました。
ぜんぶで六公演、ちいさいところばかりで、じっさい、お客さんが三人くらいのところもありましたが、それでも、思い出深い旅でした。
一番安い飛行機チケットを買ったわけです。当時、それはアエロフロート航空でした。
最近のアエロフロートは、機内もキレイで、チケットも他の航空会社と変わらない値段がすると思いますが、そのころは「安い飛行機といえばモスクワ経由のアエロ利用」でした。そのもっと昔は、「安い飛行機といえば大韓航空でソウル経由」でしたよね。時代とはどんどん変わるものです。
そういうわけで、モスクワ経由でパリに向かったと記憶しているのですが、行きも帰りも、モスクワ空港(シェレメチェヴォ)を経由します。
その空港の施設内で、とんでもないものを見たわけです。それが、そのテレビなのです。
テレビが、目線より少し高いところに、何台も設置してあります。
メーカーの名前をわすれてしまいました。ロシア製だったか、韓国製だったかのどちらかです。
そんなに大きなテレビではありません。すこし小さめの、32型か、それより小さいか、くらいのモニターが、そこらじゅうにあるわけです。
それは、そのテレビメーカーの宣伝のためにそこに設置してあるわけで、えんえんと電気メーカーの宣伝とおぼしき映像が流れています。
そのテレビから、物体(映像)がビュンビュンと飛び出してくるのです。
こちらは3D眼鏡などかけていません。乗り継ぎするためにふつうに歩いているだけです。
それなのに、5、6メートルも離れたテレビモニターから、画像がとびだし、自分の手元あたりくらいまで飛んでくるのです。
「立体に見える」とかじゃないですよ。もう、こっちの手のとどきそうなあたりへ、向こうから飛んできて落ちる。
「うわっ」と叫び、体をのけぞらせて、飛んでくる物体を避けちゃうくらい。
さすがに、「これは立体テレビからの映像である」ということは理解していますので、物が飛んでくるといっても、本当に錯覚を起こして恐怖するほどではありません。
でも、視覚上、物が、自分の身体の手前に向かって飛ぶのです。
こりゃあすごい、こんなスゴいテレビが開発されたのか、とバンドメンバー全員で話をしました。
これから、世界を席巻すること請け合いです。
ところが、です。
あれから二十年ほど経ちましたが、いっこうに、日本に入ってきません。
それどころか、世界のどこでも、僕の知っている限りはみあたりません。
いまはモスクワ空港も改装されて、そのテレビは無くなってしまいました。
ヨーロッパのどこにいっても、見かけることはありません。
あのものすごい技術は一体どこへ消えたのか。
2006年って、ものすごい前です。アイフォンの初代が登場したころです。(ちなみに僕は「iPhone」って書かないことにしています。あっ、書いてしまった。)
・・・あのテレビはどこにいったのか。
やっぱり、陰謀論でよく耳にするフレーズ「軍事技術に応用できるので国家機密」なのか?
安い陰謀論をふりまくのはいやなので、そんなことは言いたくないのだけれど。
誰かご存知の方、いたら教えてください。