2017年11月アーカイブ

ビールとデモ

 

 すこし経ちますが、ステイプルシンガーズの名曲「Respect Yourself」を翻訳してみました。この曲は、1971年に発表された社会メッセージソングでした。
「Respect Yourself」by ステイプルシンガーズ

 翻訳に取り組んでみて初めて分かったのですが、この歌は、タイトルから連想されるような「自分を大切にしよう」という歌では無かったのです。むしろその逆であって、この歌は、「他人を大切にしよう」という歌だったのです。恥ずかしながら、いままで僕はまったく気付かずに聞き流していました。
 《仲間というのは自分自身のことである。その仲間を敬うことさえできなければ、どうして黒人全体の尊厳を勝ち取ることができようか》といっています。黒人コミュ二ティーで、いがみあったり、お互いを貶めようとすることがあるので、それを注意しているのです。

   さて、いきなり話がとびます。今年2017年の夏のことを書きます。去年にくらべてぐっと涼しい、まったく暑くない夏でした。
 ある金曜日、僕は国会前にいました。いわゆる共謀罪法案の審議がとじようとしているところで、デモがおこなわれていたので僕も行ったのです。国会前で、僕たちはスピーチを聞いたり、「共謀罪、反対!」「平成の治安維持法、反対!」と声をあげました。
 夜九時半ごろだったでしょうか、デモが終わり、僕は仕事場に帰ることにしました。日比谷公園の駐車場に車をとめてあったので、国会正面から霞ヶ関のほうへ歩いていきました。静かな日比谷公園のなかを通り抜け、まもなく駐車場にたどりつくとき、あるものに思わず遭遇しました。
 それは、連なる電球に照らされて、会社帰りの人でおおいに賑わうビアガーデンでした。夏のあいだだけ、日比谷公園の噴水広場がビアガーデンになっているのです。無数のテーブルと椅子が並べられ、それを取り囲むようにして多数の売店がおいしそうな肉やら何やらを売っています。
 それを見て、率直なところ、僕は怒りがふつふつと湧いてきました。
 ・・・この数年、この日本ではとんでもない法案がつぎつぎと成立して、日本という国が崩落の一途をたどっている(という歴史認識を僕はもっている)。それなのに、丸の内や霞ヶ関といった東京の中心にいる人々はこんなところでビアガーデンを楽しんでいる。なんということだろう。
(・・・ここに居るやつら全員、うしろから膝カックンやったろか!)
 そう思いながら、その宴のなかを通り抜けました。暴走しつづける安倍内閣をなんとかして食い止めなくてはならないと、共謀罪反対のために集まった人は、今日はたったの数百人ほどでした。その人達は、真っ暗ななか二時間ほど声をあげたのに。
 そんなわけで、やり切れない気持ちで車のエンジンをかけたのです。

 しかし、です。車を走らせながら考えました。
 ・・・落ち着いて考えよう。ビールを飲むことは何も悪くない。むしろ、いいことだ。いや、それどころか、そもそも僕が今日こうしてわざわざ国会前に出向いたのも、この国に住む人なら誰でも楽しくビールを飲めるようにあってほしいと願うからだった。そのビールを飲む人を妬んでどうする。
 このビアガーデンにいる人達は、僕と同じ、ただの普通の人たちだ。僕は、全員がビールを飲めるようになるために、自分からすすんでデモに行った。たまたまその近くで、ビアガーデンが催されていた。・・・これは心から喜ぶべきことなのだ。

 そんなことを考えたのでした。
 さて、ステイプルシンガーズのメッセージと、同じでしょうか。ちょっと違うかも知れません。よく分からないけど、僕はなんとなく結びつけて考えているのです。
 「Respect Yourself」(同胞を大事にせよ → 黒人は団結せよ)を僕たちに当てはめるとすれば、「庶民は団結しろ」ということだと思います。
 もしも、現代の日本にパップ(この曲を作曲したステイプルシンガーズのお父さん)が居たとしたら、デモに行ってビアガーデンを批判するやつはパップに叱られるだろうし、ビールを飲みながらデモを批判するやつもパップに叱られるだろうと思ったわけです。

 そういうわけで、平和運動とはすなわち「誰でもビールをたのしく飲めるようにしろ!」ということである。もちろん、ミュージシャンも、楽しい曲をつくったり、ダンスパーティーをしたりしても良いのであーる。



衆院選をふりかえって

 
ブログをじっくり書きたいのですが、残念ながら時間をみつけることができませんので、箇条書きのようなぐあいで結論だけ書くことにしました。
総選挙からすこし時間が経ってしまいましたが、その総括です。

ものすごいスピードで状況が激変しましたので、勝ったのか負けたのかさえ、分からない選挙でした。
立憲民主党という「リベラルの受け皿」となりうる政党が登場したことは大きな望みだと思います。応援していきたい。
共産党が議席を減らしたことはとても残念。
希望や維新ら泡沫政党については、とくに感想はありませんが、早く消滅することを願っています。
結局のところ、勝ったのは、党内で足場を固めなおした安倍政権だったのでしょう。

もっと大事な問題があります。
それは、最初に戻って、民進党が解体したことです。大問題です。
たしかに、そもそも民進党には未来は無かったので、嘆く必要はそれほどないと思います。
それでもなお、一番重要な課題は、安倍政権がここまで腐敗・堕落しているのに、僕たち市民が民進党を応援することが出来ないというところにあると思います。

この世にはスーパーマンもサンタクロースも居ません。
政治家とはスーパーマンでもサンタクロースでもありません。
だから選挙とは・・・
「マシなほうをえらぶもの」
「自民党以外へ投票しなければならない」
(どんな権力も必ず腐敗する。だから権力を批判しつづけることは、僕たちの責務。)
こういうことを、僕たち庶民の常識として浸透させていかなくてはいけないと思います
これこそが、庶民のパワーとなるはずなのです。

それは時間のかかることでしょう。5年や10年では無理だろうと思われます。
50年かかったとしても、少しずつで良いから、やらなくてはいけないことです。


ところで、話を最初に戻します。
半ばタナボタ式で、安倍政権は足場固めに成功しました。
来年は戦後初の、世にも恐ろしい改憲が始まります。必ず来ます。
日本が、10年か20年くらいかけて、これからまだまだ崩壊していくと思います。
必死に食い止めるべきです。
音楽家は、改憲反対イベント、戦争反対イベント、人権イベントをやらなアカンと思います。

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