基礎から固める英語講義 第四回(全15回)よみかた
2024年1月公開
2024年11月23日最終更新
第四回目の講義をはじめます。
本日講義のテーマは「よみかた」です。
前回までに、すべての母音、すべての子音をみてきました。
これで英語に必要な要素(音素)がすべて揃いましたので、すべてを、ならべて、くっつける時がきました。
子音と母音をくみあわせると音節になります。
音節が一つで一つの単語をつくります。
音節が二つ以上くっつけて、さらに高度な単語をつくります。
単語をならべると文になります。
これを、音(おと)のうえで、どのような仕組みでくみあわせる、くっつける、ならべる、のでしょうか。
・・・これを「よみかた」と呼ぶことにします。
「よみかた」が分からなければ、音(おと)が分かりません。
音(おと)は、耳を頼りにしていくら聴いたって分からないのです。(ちょっとヘンなことを言うようですが本当です。)
音(おと)が分からなければリスニングができません。
リスニングができなければ、英語は分かりません。
そういわけで、今日の「よみかた」はとても大事です。
今日の講義はものすごく長くなりますが、頑張ってみてください。
覚える(記憶する)ことは何もありません。僕はただひたすらに英語の仕組みを説明しますから理解していただきたいのです。
第四回講義の内容:
[1] 復習と予習
[2] 一音節のよみかた
[3] 二音節のよみかた
[4] 三音節以上のよみかた
[5] 文(センテンス)のよみかた
今日のポイントは二つです。
①音節ごとに手拍子をうつ。
②音節どうし、単語どうしを特殊な「糊(のり)」でくっつける。
「音節」とは、喩えるならば建物をつくりあげる「一個のレンガ」のようなものです。
英語とは、同じかたちで同じ大きさのレンガ、すなわち音節を一つ一つ積みあげているだけに過ぎません。
これは日本語が、「あ」とか「い」とか「か」とか(1音=1文字)をならべているに過ぎないのと同じことです。
この「一個のレンガ」(音節)を理解するために、手拍子(てびょうし)の助けをかりようと思います。
手拍子を用いるのは僕が考案した方法でもなんでもなく、諸外国のたいていの小学生が音節を学ぶ(=音節の数をかぞえる)ためにおこなっている標準的な方法ときいています。僕たちもぜひやってみるべきです。
音節とはすなわち「拍(はく)」です。
一つの音節とはすなわち「一拍(いっぱく)」です。
英語でいうと「a beat」です。
これは、「歩(ほ)」と考えるのもよいでしょう。
歩いて前にすすむときは、だれでも、一歩(いっぽ)、二歩(にほ)、三歩(さんぽ)、と歩きます。
1.5歩とか、0.8歩とか、そういう中途半端なのはありません。
それと同じように、読む場合、話す場合、聴く場合、すべてにおいて一歩(一音節)の積み重ねになっているわけです。
わたしたちの日本語にほとんど「拍」が無いというのは分かるでしょうか?
(日本語)おはようございます。
(英語)Good morning. (good-morn-ing → 3音節)
上記「おはようございます」は9音(9字)あるのですが、一つ一つの音韻がとても軽く、「おはようございます」がひとつのまとまり、川の水がながれるような具合なのです。つまり、数えられるようなビート(拍)が無い。
喩えていうならば、日本語は「すり足」がぴんと来るでしょうね。
ひるがえって英語のほうは、たとえていうなら子供の遊びで「グリコ」というのがありますね、まさにあのリズムです。
じゃんけんをして勝った人が「グ、リ、コ」とか「チ、ヨ、コ、レ、イ、ト」といって階段をあがったり下がったりする遊びです。
上の例でいうなら、「グードゥ、モーヌ、イーング」で「トン、トン、トン」の三歩となります。
これから、このようにして「一拍一拍」または「一歩一歩」として英語を読みましょう。
なぜなら英語はそういう言語だからです。
手拍子を打つようにして英語を言うーーこれが本日のポイントの一つ目です。
ただし、音節を切るわけではなく、つなげます。
それが今日の2つ目のポイントです。
・・・前置きがながくなってしまいました、すみません。
それでは講義をはじめたいと思います!
おぼえること(記憶すること)はほとんど何もありません。
「英語の仕組み」を説明してゆきますので、そういうもんだと知っていただけたらそれでいいのです。
ぜひ、しっかり参加してください。
すなわち、声を出し、手拍子を叩いていただき、質問していただきたいのです。
[1] 復習と予習
前回までのまとめ:
子音(Consonant) + 母音(Vowel) + 子音 = 1音節(Syllable)
1音節 → ひとつの意味
1音節 → ひとつの単語
母音(Vowel)の数は合計15個 (あともう一つ、あいまい母音[ə])
ながいほうの母音・・・・八つ ([eɪ][iː][ɑɪ][oʊ][uː][ɑʊ][ɔɪ][ɝ])
みじかいほうの母音・・・・七つ ([æ][e][ɪ][ɔ][ɑ][ʌ][ʊ])
子音(Consonant)の数・・・・24個
英語というのは母音が15個で子音が24個です。
「これ以上は無い」と考えていただきたいのです。
世の中には、数限りなく単語があります。そして無限の文・文章があります。
でも、それはすべて同じこれら有限(母音15個、子音24個)の要素でつくられていると捉えます。そして、そうなりましたら音節の数はけっこう知れたものです。
単語や文によって母音や子音が変わるわけではありませんし、増えたり減ったりもしません。
同じようなものを並べかえているだけ、というのが基本になります。
じつは、これは方言によっても変わらないんですよ。
オーストラリアの人の発音だと・・・ニュージーランドの発音では・・・とかしきりに言う人がいますが、それはアプローチが違うのです。
地域や人によって母音や子音の音ざわりが異なることは、当然あります。でも、どこの出身の人だろうが、その人にとっては母音は15個しかないし、子音は24個しかない、と云ってよいわけです。
(学術的な見地、言語学としては議論の余地があるでしょうが、言語習得のうえではこれを出発点かつ終着点に定めて問題ないでしょう。)
それでは参りましょう。
今日は、「ながいほうの母音」と「みじかいほうの母音」という分類がとても大事になってきます。
長いほうの八つと短いほうの七つを、わけて考えてください。
[2] 一音節のよみかた
存在感のある1音節をつくるため、手拍子を「パン!」と一回叩きながら声にだしてください。
たとえば「cat」でしたら、手拍子「パン!」を1回で [kæt] です。
後ほど、2音節の単語になりましたら(つまり1音節が二つ)、手拍子を「パン!パン!」と二回叩きます。
まずは、もっとも基本的なかたちの1音節を声にだしてみましょう。
C + V(みじかいほう) + C = 1音節 = 1単語
cat [kæt] 猫(ねこ)という意味
bat [bæt] 野球でつかう道具
beg [beg] 請うてお願いする、という意味
get [get] 手に入れるという意味
tip [tɪp] さきっちょ、という意味
pick [pɪk] つまむ、という意味
cop [kɔp]または[kɑp] 警察官という意味
pot [pɔt]または[pɑt] 鉢(はち)または鍋(なべ)形のもの、という意味
ball [bɔl]または[bɑl] 球体のものという意味
talk [tɔk]または[tɑk] 話す、という意味
tub [tʌb] 大きな容れ物、槽(そう)という意味
bus [bʌs] 大型自動車の交通機関
book [bʊk] 本という意味
cook [kʊk] 料理をするという意味
つぎに、「ながいほうの母音」を子音が挟むかたちの1音節の単語です。
同じく、手拍子一回「パン!」でおねがいします。
C + V(ながいほう) + C = 1音節 = 1単語
cake [keɪk] 洋菓子という意味
rain [reɪn] 雨という意味
need [niːd] 必要という意味
teach [tiːtʃ] 教える、という意味
like [lɑɪk] 好き、という意味
right [rɑɪt] 正しい、という意味
gone [goʊn] 過ぎ去った、という意味
boat [boʊt] 小舟という意味
huge [hjuːdʒ] 巨大な、という意味
tooth [tuːθ] 歯(は)という意味
down [dɑʊn] 下のほう、という意味
south [sɑʊθ] 南という意味
noise [nɔɪz] 雑音という意味
join [dʒɔɪn] 参加するという意味
work [wɝk] 働くという意味
bird [bɝd] 鳥という意味
スペルにまどわされないでください。
やさしい単語ばかりなので、みなさんはだいたいの発音は知っているはずですから、あらためて「15個の母音と24個の子音」に当てはめてよんでいってほしいのです。
さて、英語と云う言語は「子音中心」の言語です。
つまり、子音を強く、くっきり、そして母音をよわく、やわらかく言います。
ということは、この音節の型(子音ー母音ー子音)のもつリズムというのは、最初と最後のところがくっきりと前にでて、真ん中はひっこむような感じのリズムになります。
カタカナで書くならば「タンタ」というようなリズムです。このリズムが英語の音節の仕組みとなります。
(あとでやりますが、2音節や3音節となってきますと、「タンタ」がいくつもならんで「タンタタンタタンタ・・・」ということになります。)
じっさいに「子音をつよく、母音をよわく」を出来る人はなかなか居ないと思います。これは黒帯レベルです。数年かかるかもしれません。今日のところは、そういうもんだと、英語の仕組みをとりあえず知っていただき、すこしずつ掴んでいけばそれでOK(オウケイ)です。
つぎに、二点目。これは僕からのお願いです。
前の子音も後ろの子音も、どちらもはっきり発音するように心がけてください。
たいていの英語話者は、音節のうしろの子音は小さく発音します。完全に聞こえなくなる場合も多い。
けれども、そもそも子音を強く発音することに慣れていない段階で子音を弱めて練習をするのは、基本をすっ飛ばした学習方法だと考えるので、ひとまず現段階では、うしろの子音も、まえの子音と同様にはっきりと発音するよう心がけることが、リスニングへの(もちろん発音も)上達の近道と信じます。
三点目です。あともう一つ、音節のしくみに関して大事なこと、それは、「母音は伸ばしても構わない」ということです。
英語には、日本語でいう「長音(ちょうおん)」というものがありません。
長音というのは、日本語において「おとうさん(おとーさん)」「おかあさん(おかーさん)」「りゅうきゅうおうこく(りゅーきゅーおーこく)」のように伸ばす音のことです。
「boy(男の子という意味)」は、みなさんは「ボーイ」だと思っているでしょうが、辞書には[bɔɪ]と書いてあるはずです。ということは「ボイ」です。
長音が無い、と言ったのは、音(おと)を伸ばしてはイケナイのではなく、「伸びているか伸びていないかを区別しない」ということです。
つまり英語では、母音を伸ばしても伸ばさなくても言葉の意味が変わらないのです。
(日本語は長音によって言葉が変わる言語です。「おかあさん」を、「おおかあさん」とか「おかさん」とか言えば違う言葉になってしまいます。)
それでどうなるかと云いますと、英語では好きなときに母音を伸ばしてよい、よーするに、ゆっくり丁寧に言うときには母音を伸ばします。これが三つ目の留意点です。
そういうわけで、最初に声にだしてもらった一音節の単語を、母音を伸ばして(=母音を重ねて)下記を声に出してみましょう。
手拍子一回も忘れずにおねがいします。
(*・・・便宜上発音記号を一時的に変えています。)
[kæt] → [kææt] → [kæææt]
[bæt] → [bææt] → [bæææt]
[bεg] → [bεεg] → [bεεεg]*
[gεt] → [gεεt] → [gεεεt]*
[tɪp] → [tɪɪp] → [tɪɪɪp]
[pɪk] → [pɪɪk] → [pɪɪɪk]
[kɔp] → [kɔɔp] → [kɔɔɔp]
[pɔt] → [pɔɔt] → [pɔɔɔt]
[bɑl] → [bɑɑl] → [bɑɑɑl]
[tɔk]→[tɔɔk]→[tɔɔɔk]または[tɑk]→[tɑɑk]→[tɑɑɑk]
[tʌb] → [tʌʌb] → [tʌʌʌb]
[bʌs] → [bʌʌs] → [bʌʌʌs]
[bʊk] → [bʊʊk] → [bʊʊʊk]
[kʊk] → [kʊʊk] → [kʊʊʊk]
では、つづいて「ながいほうの母音」です。
ながいほうの母音は、よーするに二重母音と云い換えてもよい。
だいたい下記のように書き表しちゃっても、あながち不味くはないでしょう。
つまり、試しに、二重母音のうち一つ目のほうの母音を重ねてみてください。
[keɪk] → [keeɪk]
[rεɪn] → [rεεɪn]*
[niːd] = [niid] → [niiid]
[tiːtʃ] = [tiitʃ] → [tiiitʃ]
[lɑɪk] → [lɑɑɪk]
[rɑɪt] → [rɑɑɪt]
[gɔʊn] → [gɔɔʊn]*
[bɔʊt] → [bɔɔʊt]*
[hjuːdʒ] = [hjuudʒ] → [hjuuudʒ]
[tuːθ] = [tuuθ] → [tuuuθ]
[dɑʊn] → [dɑɑʊn]
[sɑʊθ] → [sɑɑʊθ]
[nɔɪz] → [nɔɔɪz]
[dʒɔɪn] → [dʒɔɔɪn]
[wɝk] → [wɝɝk] (働くという意味)
[bɝd] → [bɝɝd] (鳥という意味)
そういうわけで、まとめますと、一音節につき手拍子を一つ打ちながら、
①子音をハッキリと、うしろの子音も落とさずに
②母音はやさしく
③ゆっくり丁寧に読むときは母音を伸ばして(=母音を重ねて)声にだす。
1音節の説明はだいたい以上です!
それでは、2音節へすすむ前に、1音節のバリエーションを確認しておきます。
子音が増えたり無くなったりしますが、上記の「よみかた」は同じです。
前の子音が二つ、または三つ (手拍子は一つ)
C-C-V-C、C-C-C-V-C
[sk]+[uː]+[l] ・・・ 学校という意味
[sk]+[æ]+[n] ・・・ 走査(そうさ、列を追うこと)という意味
[st]+[oʊ]+[n] ・・・ 石(いし)という意味
[st]+[iː]+[m] ・・・ 蒸気という意味
[pl]+[iː]+[z] ・・・ おねがいします/喜ばせる、という意味
[pl]+[eɪ]+[t] ・・・ 板、お皿(さら)、という意味
[kl]+[ɑʊ]+[d] ・・・ 雲(くも)という意味
[kl]+[ɑɪ]+[m] ・・・ (山などに)登る、という意味
[dr]+[ʌ]+[m] ・・・ 太鼓(たいこ)という意味
[dr]+[iː]+[m] ・・・ 夢(ゆめ)という意味
[str]+[iː]+[t] ・・・ 通り、路(みち)、という意味
[str]+[ɔ]+[ŋ] ・・・ 強いという意味
[spr]+[ɪ]+[ŋ] ・・・ 春(はる)という意味
[spr]+[e]+[d] ・・・ 散らす、撒(ま)く、という意味
[spl]+[ɪ]+[t] ・・・ 二つに分ける、という意味
[spl]+[æ]+[ʃ] ・・・ (水を)ばしゃばしゃする、という意味
後ろの子音が二つ、または三つ (手拍子は一つ)
C-V-C-C、C-V-C-C-C
[p]+[eɪ]+[nt] ・・・ 色を塗るという意味
[s]+[e]+[nt] ・・・ 「send」の過去形
[θ]+[æ]+[nk] ・・・ 感謝するという意味
[dʒ]+[iː]+[nz] ・・・ デニム生地のズボンの意味
[l]+[æ]+[st] ・・・ 最後の、という意味
[t]+[oʊ]+[st] ・・・ 焼きパンという意味
[w]+[eɪ]+[st] ・・・ 無駄という意味
[f]+[æ]+[st] ・・・ 速い、という意味
[f]+[æ]+[kt] ・・・ 事実、という意味
[m]+[ɪ]+[ks] ・・・ まぜる、という意味
[f]+[iː]+[ld] ・・・ ひろい場所という意味
[h]+[oʊ]+[ld] ・・・ つかむという意味
[n]+[e]+[kst] ・・・ 次の、という意味
[θ]+[æ]+[nkt] ・・・ 「thank」の過去形
[m]+[ʌ]+[nθs] ・・・ 「month」の複数形
前の子音が無い (手拍子は一つ)
V-C、V-C-C、V-C-C-C
[-]+[æ]+[d] ・・・足す、という意味
[-]+[æ]+[m] ・・・Be動詞の第一人称現在形
[-]+[e]+[r] ・・・空気という意味
[-]+[e]+[g] ・・・卵(たまご)という意味
[-]+[ɪ]+[n] ・・・中(なか)という意味
[-]+[ɪ]+[l] ・・・具合がわるい、という意味
[-]+[ɔ]または[ɑ]+[d] ・・・奇妙な、という意味
[-]+[ɔ]または[ɑ]+[n] ・・・接している、という前置詞
[-]+[ʌ]+[p] ・・・上に、という意味
[-]+[ʌ]+[s] ・・・第一人称複数目的格
[-]+[æ]+[kt] ・・・演じる、という意味
[-]+[æ]+[nt] ・・・蟻(あり)という意味
[-]+[e]+[lk] ・・・日本で言う鹿(しか)の一種
[-]+[e]+[nd] ・・・おわり、という意味
[-]+[ɪ]+[nk] ・・・墨(すみ)という意味
[-]+[ɪ]+[ntʃ] ・・・長さの単位
[-]+[eɪ]+[kt] ・・・「ache」の過去形
[-]+[eɪ]+[md] ・・・「aim」の過去形
[-]+[oʊ]+[ld] ・・・古い、という意味
[-]+[oʊ]+[nd] ・・・「own(所有する)」の過去形/過去分詞形
さて、次は特別です。うしろの子音がない、というかたちです。(手拍子は一つ)
C-V、C-C-V
[m]+[eɪ]+[-] ・・・五月(ごがつ)という意味
[s]+[eɪ]+[-] ・・・言う、という意味
[b]+[iː]+[-] ・・・蜂(はち)という意味
[m]+[iː]+[-] ・・・自分(じぶん)という意味
[h]+[ɑɪ]+[-] ・・・高い、という意味
[-]+[ɑɪ]+[-] ・・・私(わたし)という意味
[g]+[oʊ]+[-] ・・・行く、という意味
[bl]+[oʊ]+[-] ・・・吹く、という意味
[kl]+[uː]+[-] ・・・手がかり、という意味
[v]+[juː]+[-] ・・・光景、という意味
[-]+[juː]+[-] ・・・あなた、という意味
[k]+[ɑʊ]+[-] ・・・牛という意味
[b]+[ɔɪ]+[-] ・・・男の子という意味
このような後ろの子音がない音節のことを「オープン・シラブル(Open syllable)」と呼びます。
後ろにあるはずの扉(とびら)が開けっぱなし、すなわち後続の子音がないのできちんと締まらずに母音がほったらかしになる、という意味です。
そのため、大事な法則が生じます。
・英語ではオープン・シラブルを〈みじかいほう〉の母音でよむことが出来ない
例外が無いわけではありませんが、オープン・シラブルは〈ながいほうの母音〉でよみます。
この法則は大事なので頭の中にいれておいてください。
たとえば、「me(わたし、第一人称の目的格)」という単語がありますね、この音節は、うしろの子音がありません。ですから、母音字「e」を〈ながいほう〉すなわちアルファベットの名前そのままで読むわけです。つまり「ミー」になります。
〈みじかいほう〉で読めば「メ」ですが、そうは言わない(言えない)わけです。
オープン・シラブルの反対で、おわりの子音がある音節は「クローズド・シラブル(Closed syllable)」と云います。
はい、ご苦労様でした!
それではつぎに2音節の単語(two-syllable word)へまいりましょう。
休憩してからでも前にすすんでください。
[3] 二音節のよみかた
2音節の単語をよみましょう、ここから面白くなります。
手拍子をしっかりと二つ叩くことで、「存在感のある一音節を2コつくってならべる」と思ってください。
下記の二つの方法で声にだしてください。
① あいだに間(ま)をあけるよみかた
② 間をあけないよみかた
たとえば「hotdog(ソーセージの食べ物のこと)」でしたら、「hot」+「dog」という2音節の単語ですので、
① 手拍子「パン!・・・(無音。いったん休む。1秒くらい間をおいてから)・・・パン!」で「ハアアト!・・・(静寂=休み)・・・ダアアグ!」
② 手拍子つづけて二回「パン!パン!」で「ハアトダアグ」
となります。
リズムとしては、無理矢理にカタカナで書きますと、だいたい、
①「タンンタ・・・(しっかり休む)・・・タンンタ」
②「タンタタンタ」
というようなかんじです。
存在感のあるレンガが二つ並んでいると考えていただきたいのです。
cup-cake [kʌp]+[keɪk] カップケーキという意味
hot-dog [hɑt]+[dɑg]または[hɔt]+[dɔg] 食べ物の名前
in-put [ɪn]+[pʌt] 入力という意味
lap-top [læp]+[tɑp] ひざの上という意味
note-book [noʊt]+[bʊk] 一冊のノートという意味
Mon-day [mʌn]+[deɪ] 月曜日という意味
Tues-day [tuːz]+[deɪ] 火曜日という意味
post-card [poʊst]+[kɑːd] 葉書(はがき)という意味
rain-bow [reɪn]+[boʊ] 虹(にじ)という意味
scare-crow [skær]+[kroʊ] カラス除けのこと
もうすこしやりましょう。
①と②の両方のよみかたで、もちろん手拍子二つをわすれずにして声をだしてください。そして、なるべく自分の声を聞くようにしてください。
nap-kin [næp]+[kɪn] 水分を拭くための布のこと
child-ren [tʃɪld]+[ren] 子どもという意味
doc-tor [dɑk]または[dɔk]+[tɝ] (医学)博士という意味
fin-ger [fɪn]+[gɝ] 指(ゆび)という意味
con-test [kɑn]または[kɔn]+[test] 競争/コンクールなどの意味
en-ter [en]+[tɝ] (建物などに)入るという意味
num-ber [nʌm]+[bɝ] 数(かず)という意味
tab-let [tæb]+[let] 板(いた)という意味
hus-band [hʌz]+[bənd] 夫(おっと)という意味
in-sect [ɪn]+[sekt] 昆虫(こんちゅう)という意味
あ、念のため言いますが、いま、発音の「練習」をしているのではありません。英語のしくみの説明をしています。そこを忘れないでくださいね。
言い換えますと、発音やリスニングが出来るようになるためにまずは英語の仕組みを「理解」してください、と云うことです。
さて、二音節では音(おと)はどのようになっているでしょうか。
たいていの単語が「C-V-C/C-V-C」という順序でつながっていますね。
そうすると、一つ目のレンガと二つ目のレンガのつなぎ目は、子音と子音がとなり合わせになっています。ここに注目です。
子音が二つあるわけですから、物理的に、音(おと)は滑らかに繋げることができません。
もしこれが母音と母音の並びでしたら、音節をなめらかに繋げて、つなぎ目を消してしまうことができるでしょう。でも、子音と子音だと、そっぽを向いて背中あわせに立ち並んでいるようで、いくら素早く読もうとも、いくら滑らかに読もうとも、子音と子音では「壁」ができるばかりで、混ざりません。
これでよいのです。つまり、あくまで音節と音節を「となりあわせ」にするだけです。
レンガとレンガをくっつけて新しいレンガをつくるのではない、ということです。
ちょうど、シャボン玉をとばしたら、二つか三つがひっついて、連なるときがあるでしょう、あんなかんじを思ってください。
「つなげる」のではなく、「ひっつける」「となりあわせにする」ということです。
(ここにイラスト挿入:シャボン玉と串だんごと五平餅)
ちなみに、日本語はどうでしょうか。
日本語は英語にくらべて、音(おん)と音(おん)がつながっている言語で、横一直線にのびているような音印象をつくる言語です。
英語が串刺しのだんごとすれば、日本語は五平餅みたいなかんじですかね。
これが二音節の基本的な考え方です。
それでは、この原理を応用して、つぎの段階にすすみます。
ここから、面白くなります。
「cof-fee」という単語がありますね。飲み物の種類です。これは[kɑf]+[fiː]の2音節です。
ほぼ基本形の「C-V-C/C-V-C」です。(2音節目がオープンシラブルですから実際は「C-V-C/C-V」です。)
この単語は子音[f] が重なっているのです。これを下記のように声にだしてください。
①手拍子「パン!・・(1秒休む)・・パン!」で、「カアアフ!・・(1秒休み)・・フィイイ!」([f]は二回登場する)
②手拍子「パン!パン!」で、「カアフィイ」([f]は二回言っているつもりだが一回しか聞こえない)
②では頭の中では [f] が二回登場しているのですが、実際の音としては一回しか発音しません。
これが英語話者の頭の中でおきていることです。
上記①と②の方法で、子音が重なる2音節の単語をよんでみましょう。
cof-fee [kɑf]+[fiː]または[kɔf]+[fiː] ・・・飲み物の名前
let-ter [let]+[tɝ]・・・手紙という意味
hur-ry [hɝ]+[riː]・・・急ぐという動詞
ham-mer [hæm]+[mɝ]・・・金槌(かなづち)という意味
hip-po [hɪp]+[poʊ]・・・かば(動物)という意味
ap-ple [æp]+[pəl]・・・りんごという意味
lit-tle [lɪt]+[təl]・・・小さいという意味
of-fice [ɑf]または[ɔf]+[fɪs]・・・事務所という意味
dol-lar [dɑl]または[dɔl]+[lɝ]・・・通貨の名前
din-ner [dɪn]+[nɝ]・・・お食事という意味
fun-ny [fʌn]+[niː]・・・おもしろい、という意味
つまり、頭のなかで、わざわざ二つの子音による「壁」をつくっています。
ひっつけているのか、それとも音節を分けているのか、どちらとも考えられる現象です。これが英語の音世界(おとせかい)です。この、ちょっと不思議な世界を堪能してください。
つぎに、この原理をさらに応用します。
「cook-ie(焼き菓子)」[kʊk] + [i(ː)] という単語がありますね。
この単語は二番目の音節のあたまの子音が欠けている格好です。
まずは、これまでと同様に①と②の方法でよんでみましょう。
①間をおいて: 手拍子「パン・・・パン」で、「クーク」・・・(やすみ)・・・「イー」
②間をあけず: 手拍子「パンパン」で、「クークイー」
もう一つの方法を紹介します。僕は「転写法(てんしゃほう)」と呼んでいます。これは重要な考え方なので、よく理解してください。
二つ目の音節に子音が欠けているので、ここに直前の子音を転写(てんしゃ)させます。これで「子音ー母音ー子音」の基本形にもっていきます。
この単語ですと、2音節目のアタマに、直前の子音[k] を転写します。
[kʊk]+[i(ː)] → [kʊk]+[ki(ː)]
これでさきほどの「cof-fee」の説明と同じかたちになりました。下記のようになります。
③ 間をあけて: 手拍子「パン・・・パン」で「クーク・・・キー」
④ 間をあけず: 手拍子「パンパン」で「クーキー」
結果として、②と④は同じ音(おと)になりますが、頭のなかの考えていることがちょっと違うわけです。
きちんとした詳しい解明は、僕の英語の師匠・恩師と仰ぐ上川一秋先生(「英語喉」「機関銃英語が聞き取れる」)をはじめとして各先生に譲ります。僕の講義は簡約版です。
それでは、①②③④という四つのよみかたで、手を叩きながら声をだしてみてください。
自分の声もよく聞いてください。
cook-ie [kʊk]+[i(ː)] → cook-kie
dev-il [dev]+[ɪl] → dev-vil
nov-el [nɑv]または[nɔv]+[əl] → nov-vel
im-age [ɪm]+[ɪdʒ] → [ɪm]+[mɪdʒ]
lem-on [lem]+[ɑn]または[ɔn] → lem-mon
lim-it [lɪm]+[ɪt] → lim-mit
cop-y [kɑp]または[kɔp]+[i(ː)] → cop-py
or-ange [ɔr]+[ɪndʒ] → [ɔr]+[rɪndʒ]
met-al [met]+[əl] → met-tal
driv-er [drɑɪv]+[ɝ] → driv-ver [drɑɪv]+[vɝ]
つづいて、一つ目の音節のほうで子音が欠けているパターンです。つまり、一つ目の音節がオープン・シラブルの場合です。
じつは、この場合は「転写」させなくてよいという考えを僕個人としては持っているのですが、良い練習、すくなくとも良い実験になることは間違いありませんので、同様にやってみてください。①②の方法、それから転写法(③④)で読んでみてください。
云うまでもなく、手拍子もしっかり二つ叩きながらお願いします。
hu-mor [hjuː]+[mɝ] → [hjuːm]+[mɝ]
free-dom [friː]+[dəm] → [friːd]+[dəm]
pa-per [peɪ]+[pɝ] → [peɪp]+[pɝ]
na-ture [neɪ]+[tʃɝ] → [neɪtʃ]+[tʃɝ]
key-chain [kiː]+[tʃeɪn] → [kiːtʃ]+[tʃeɪn]
be-lieve [biː]+[liːv] → [biːl]+[liːv]
de-cide [diː]+[sɑɪd] → [diːs]+[sɑɪd]
cow-boy [kɑʊ]+[boɪ] → [kɑʊb]+[boɪ]
noo-dle [nuː]+[dəl] → [nuːd]+[dəl]
以上で、「特殊な糊(のり)」の説明を終わります。
結局②と④は同じなのに、なぜ、わざわざこんなふうに考える必要があるのでしょう。それは、これこそが英語の世界だからです!
英語の世界ではとことん「子音ー母音ー子音」という形を基本単位と考えるのです。
これが英語の世界の扉をひらくカギです。
さて、言い忘れていましたが、子音がないので壁をつくることのできない単語もないわけではありませんよね。
つまり、母音と母音が連続する単語です。
この場合はレンガとレンガがつながって一つのレンガになってしまいますが、しっかり「二つ」と頭のなかで考えて手を二回叩いてください。
play-ing [pleɪ] + [ɪŋ]・・・「play」の「ing」形
see-ing [siː] + [ɪŋ]・・・「see」の「ing」形
tow-er [tɑʊ] + [ɝ]・・・塔という意味
po-em [poʊ] + [em]・・・・・詩という意味
ru-in [ruː] + [ɪn]・・・・・駄目にするという意味
du-o [duː] + [oʊ]・・・・・二人組という意味
pri-or [prɑɪ] + [ɝ]・・・・・先立って、優先してという意味
cha-os [keɪ] + [ɑs]・・・・・混乱という意味
cru-el [kruː] + [el]・・・・・残酷なという意味
fu-el [fjuː] + [el]・・・・・・燃料という意味
上記を①と②の方法で声にだしてください。
(子音がないので③と④の方法はできません。)
2音節のよみかたの説明は以上とします!
ところで、たいていの人が「音節区切り」について疑問をお持ちだと思います。
なぜ「cop-y」なのか。「co-py」では間違いなのか?
なぜ「pa-per」なのか。「pap-er」では間違いなのか?
この話(音節をどうやって区切るのか)は、ものすごく重要です。
実のところ、これを身につけるためにこそ、第一講義から第四講義までやっているわけですから。
ところがですね・・・ここにこそ英語学習最大のミステリーがあるんですよ。
僕が思うに、日本が明治開国以来、百五十年経っても英語がわからないのは音節をやらないからです。
なぜこんなに大事なもの、音節の学習をしないかというと、綴りと音節に乖離があって、やればやるほど、わけがわからなくなって音節区切りがイヤになるからです。
じつを言いますと、英語を母語としている英語話者でも音節区切りはよく間違えています。僕自身も完璧にできる自信はありません。
ですから、音節区切りは頑張り過ぎてはいけないのです。
ここはすこし慎重にいきたいと思います。
このミステリーはちゃんと解明してご覧にさしあげます。ただ、ちょっと後回しにさせてください。
みなさんは、とりあえず、この講義を「ふん、ふん」と言いながら読み進めていただきたいのです。
当面のあいだ、すべての単語をいちいち音節を区切って表記することにします。それに従ってよんでください。
そうすれば、ひとりでに、よみかたやリスニングの積み上げとなって、音節区切りの力がついてくると思います。
なぜ「co-py」ではなく「cop-y」なのか、
なぜ「pap-er」ではなく「pa-per」なのか、
の答えだけ書いておきます。それは
「co-py」だと [koʊ]+[piː] になってしまうから。(発音は [kɑp]+[iː] です。)
「pap-er」だと [pæp]+[ɝ] になってしまうから。(発音は [peɪ]+[pɝ] です。)
です。
・シラブルの基本は「子音+(みじかいほうの母音)+子音」
・オープン・シラブルは母音が「ながいほう」になる
という法則にしたがっています。これがわかるだけでも音節区切りは七割くらい出来るようになると思います。
オーケー(オウケイ)でしょうか、2音節の単語をいくつかリストにしておきます。①と②のよみかた、そして③と④(転写法)のよみかたに慣れてください。
下記は①②で。
chap-ter [tʃæp]+[tɝ] 章区切りのこと。
num-ber [nʌm]+[bɝ] 数(かず)のこと。
pic-nic [pɪk]+[nɪk] 野外食のこと。
par-ty [pɑr]+[tiː] 会食のこと。
in-sect [ɪn]+[sekt] 昆虫のこと。
in-come [ɪn]+[kʌm] 収入のこと。
it-self [ɪt]+[self] それ自体、の意。
suc-cess [sʌk]+[ses] 成功という意味。
ac-cept [æk]+[sept] 受け入れる、の意味。
bam-boo [bæm]+[buː] 竹(たけ)のこと。
sham-poo [ʃæm]+[puː] 洗髪剤のこと。
同じ子音が連続する単語。①②で。
bal-loon [bæl]+[luːn] 風船のこと。
but-ton [bʌt]+[tən] ボタンのこと。
bet-ter [bet]+[tɝ] 「good」の比較級
bit-ter [bɪt]+[tɝ] 苦い、の意味。
bal-lad [bæl]+[læd] テンポの遅いラブソングのこと。
ket-tle [ket]+[təl] やかんのこと。
lob-by [lɑb]または[lɔb]+[biː] 玄関広間のこと。
mir-ror [mɪr]+[rɝ] 鏡のこと。
pret-ty [prɪt]+[tiː] かわいらしい、の意。
pen-ny [pen]+[niː] 1セント硬貨のこと。
rab-bit [ræb]+[bɪt] うさぎのこと。
soc-cer [sɔk]または[sɑk]+[kɝ] サッカーのこと。
下記は①②③④で。
chick-en [tʃɪk]+[en] ニワトリという意味
kitch-en [kɪtʃ]+[en] 台所という意味
sev-en [sev]+[en] 数字の七の意味。
jack-et [jæk]+[et] 上着という意味。
tick-et [tɪk]+[et] 券(けん)という意味。
com-ic [kɑm]または[kɔm]+[ɪk] マンガ本という意味。
vis-it [vɪz]+[ɪt] 訪れるという意味。
clev-er [klev]+[ɝ] 頭の回転が効く、という意味。
riv-er [rɪv]+[ɝ] 河川という意味。
val-ue [væl]+[uː] 価値という意味
wind-y [wɪnd]+[iː] 風がふいている、の意味。
writ-er [rɑɪy]+[ɝ] 文章を書く人、の意味。
ba-by [beɪ]+[biː] 赤ちゃんという意味。
dai-ly [deɪ]+[liː] 毎日という意味。
be-long [biː]+[lɔŋ] 待ち望むという意味。
Ju-ly [dʒuː]+[lɑɪ] 七月という意味。
u-nit [juː]+[nɪt] 単位という意味
su-per [suː]+[pɝ] 超えた、という意味。
o-cean [oʊ]+[ʃən] 海という意味。
o-ven [oʊ]+[vən] 加熱調理器具の一種。
so-cial [soʊ]+[ʃəl] 人々の、社会の、という意味。
neigh-bor [neɪ]+[bɝ] 隣人という意味。
そんなかんじです!
つづいて三音節以上の単語についてお話ししたいと思います。
ちょっと疲れちゃったので、僕も休憩します。
みなさんも休憩してください。
[4] 三音節以上の単語、読み方
音節が増えても、仕組みは同じ、「よみかた」も同じです。
三音節の単語なら、独立した音節を三つ、となりあわせに並べるだけ、「子音による糊(のり)」でひっつけましたら単語ができあがりです。
それでは参りましょう。
「強勢(きょうせい)」のある音節を太字にしておきます。
手拍子は三つです。①と②、そして③と④で声に出してみてください。
in-ter-view [ɪn]+[tɝ]+[vjuː]
bas-ket-ball [bæs]+[ket]+[bɑl]
dis-cip-line [dɪs]+[sɪp]+[lɪn]
in-ter-est [ɪn]+[tɝ]+[est]
char-ac-ter [kær]+[æk]+[tɝ]
dif-fer-ence [dɪf]+[fɝ]+[ens]
hap-pi-ness [hæp]+[piː]+[nes]
fes-ti-val [fes]+[tɪ]+[vɑl] → [fes]+[tə]+[vəl]
hos-pi-tal [hɔs]または[hɑs]+[pɪ]+[tɑl] → [hɔs]または[hɑs]+[pə]+[təl]
hol-i-day [hɔl]または[hɑl]+[iː]+[deɪ] → [hɔl]または[hɑl]+[ə]+[deɪ]
per-fec-tion [pɝ]+[fek]+[ʃən]
im-pres-sive [ɪm]+[pres]+[sɪv]
pol-lu-tion [pɔl/pɑl]+[luː]+[ʃən]
pro-fes-sor [prɔ/prɑ]+[fes]+[sɝ]
to-mor-row [tuː]+[mɑr/mɔr]+[roʊ]
con-fu-sion [kɑn/kɔn]+[fjuː]+[ʒɔn/ʒɑn]
con-sid-er [kɑn/kɔn]+[sɪd]+[ɝ]
di-rec-tor [dɪ]または[dɑɪ]+[rek]+[tɝ]
fan-tas-tic [fæn]+[tæs]+[tɪk]
go-ril-la [goʊ]+[rɪl]+[lɑ]
im-por-tant [ɪm]+[pɔr/pɑr]+[tənt]
vi-o-lin [vɑɪ]+[oʊ]+[lɪn]
tan-ge-rine [tæn]+[gə]+[riːn]
tam-bou-rine [tæn]+[bə]+[riːn]
chim-pan-zee [tʃɪm]+[pæn]+[ziː]
ここで、「強勢(きょうせい)」についてお話させてください。
強勢の話をまだしていませんでしたね。
強勢は日本では「アクセント」と呼ばれていますが、その呼び名はちょっぴり和製英語です。
ふつう英語で「accent」と云えば、「方言(ほうげん)」「訛(なま)り」という意味です。
たとえば、「あの人って、ニューヨークのアクセントがあるね(He/she has an New York accent.)」なんていうふうに使います。
どの音節を強く言うのか、どの単語を強く言うのか、は英語では「stress」と云います。
「stress」とは英語で「心配」「気掛かり」といった意味です。
ということは「気持ち」です。音量でも音程でもないのです。
そこに気持ちを置いて強調する、です。
「しっかり言う」と考えれば分かりやすいかもしれませんね。
たとえば、「to-mor-row(明日、という意味)」でしたら、第二音節に強勢(ストレス)があります。
「mor」だけをしっかり言って、「to」と「row」は少しなおざりにして言うわけです。
これが「強勢(stress)」の正体です。
だいたいの場合は、音量が少し大きくなり、音程がすこし上がります。そして速度がゆっくりになる、つまり母音がすこし伸びる、拍が長くなります。
でも、「音量をあげなければいけない」とか「音程をすこしだけあげよう」とかと考えちゃうと余計にヘンになるので、気楽に「その音節をしっかりと言う」と心がけるのが一番よいと思います。
実際には音程が下がる場合だって十分ありうるんですよ。
強勢(ストレス)の裏返しとして、強勢のおかれない音節(や単語)はおろそかになり、しかも英語は子音が大事な言語ですからなおのことその母音はどうでもよい、となり、これにて「シュワ(あいまい母音)」が誕生します。ですから、シュワはストレスと組(セット)です。
この仕組みさえ知っておけば、あとはリスニングしていけば容易に分かることです。
そんなことより、強勢よりも音節のほうがもっともっと大事です。
それは当たり前です、なぜなら強勢は音節につくものですから。
強勢はリスニングすれば誰だって聞こえます。ということは自分で学んで身に付きます。
この講義は、「いくら聞いても聞こえないこと」を説明することに重点を置いています。
口を酸っぱくして言いますが、一つ一つの音節を、それぞれ独立させて声にだすことが何よりも大事です。
はい、つづいて四音節の単語(four syllable word)にまいりましょう。
しくみは同じです。リストをつくりましたので手拍子を四つ打って、発音してください。
たとえば、「dic-tion-ar-y [dɪk]+[ʃən]+[er]+[iː]」とありましたら、手を「パン、パン、パン、パン」と四回打ちながら、「ディク、シォン、エア、イー」と声に出すわけです。
①と②、そして③と④でやってください。
四音節や五音節ともなると、強勢の音節以外はどんどん力が抜けてゆき、「あいまい母音」がふえてきます。
強勢のある音節はしっかり発音するとして、それ以外の音節はあまり気にしないで、力を抜いていいかげんに言ってください。ほとんど母音が消えて無くなるに近い状態。ただし一拍として手を叩くのを忘れないでください。これがコツです。
シュワ(あいまい母音)[ə] は、音(おと)のうえでは [ʌ] や [ʊ] や [ɝ] とほぼ同じだと考えていただいても構いません。
音節がシュワになるかならないかは、時と場合と人によります。話者のクセ、ゆっくり言う場合と早口の場合、などによってきますので、下記はあくまで参考例です。頑張って覚えたりするべき類いのことではありません。
この語彙のリストを何度かよむことで、「シュワという現象の仕組み」を理解できればそれでよいのです。
何度も言いますが、音節(レンガ)の存在をつくることが最優先事項で、シュワがうまく言えるかどうかは大した問題ではありません。
この講義の大方針として、とくに講義の前半は出来る限りシュワを使わないようにしています。そのため一般的な辞書に掲載の発音とちがうところがあります。
下記リストはシュワ化前を①と②で読み、そのあとでシュワ化後を②で声に出してみてください。
余力がある人はぜひ、同じく要領で、③④の方法で声にだしてみてください。
cal-cu-la-tor [kæl]+[kjuː]+[leɪ]+[tɝ] → [kæl]+[kjə]+[leɪ]+[tɝ]
dic-tion-ar-y [dɪk]+[ʃɔn]または[ʃɑn]+[er]+[iː] → [dɪk]+[ʃən]+[ər]+[iː]
mil-i-tar-y [mɪl]+[ɪ]+[tɑr]+[iː] → [mɪl]+[ə]+[tər]+[iː]
in-ter-est-ing [ɪn]+[tɝ]+[est]+[ɪŋ] → [ɪn]+[tər]+[əst]+[əŋ]
tel-e-vi-sion [tel]+[e]+[vɪ]+[ʒɑn]または[ʒɔn] → [tel]+[ə]+[vɪ]+[ʒən]
ap-pre-ci-ate [æp]+[priː]+[ʃiː]+[eɪt] → [əp]+[priː]+[ʃə]+[eɪt]
af-ford-a-ble [æf]+[fɔrd]+[eɪ]+[bəl] → [əf]+[fɔrd]+[ə]+[bəl]
com-mu-ni-cate [kɑm]または[kɔm]+[mjuː]+[nɪ]+[keɪt] → [kəm]+[mjuː]+[nə]+[keɪt]
com-e-di-an [kɔm]または[kɑm]+[iː]+[diː]+[æn] → [kəm]+[iː]+[diː]+[ən]
A-mer-i-ca [ɑ]+[mer]+[ɪ]+[kɑ] → [ə]+[mer]+[ə]+[kə]
pop-u-la-tion [pɑp]または[pɔp]+[juː]+[leɪ]+[ʃɑn]または[ʃɔn] → [pəp]+[juː]+[leɪ]+[ʃən]
math-e-mat-ics [mæθ]+[e]+[mæt]+[ɪks] → [mæθ]+[ə]+[mæt]+[ɪks]
dem-o-crat-ic [dem]+[moʊ]+[kræt]+[ɪk] → [dəm]+[mə]+[kræt]+[ɪk]
u-ku-le-le [juː]+[kuː]+[leɪ]+[liː] → [juː]+[kə]+[leɪ]+[liː]
dec-o-ra-tion [dek]+[oʊ]+[reɪ]+[ʃɑn]または[ʃɔn] → [dək]+[oʊ]+[reɪ]+[ʃən]
つづいて5音節の単語にまいりましょう。
5音節ともなるとシュワを採用して表記しておきます。そのほうが分かり易いと思います。
①②でやってみましょう。また、③④の読み方でもやりましょう。
dra-mat-ic-al-ly [drɔ]+[mæt]+[ɪk]+[əl]+[liː]
re-freg-er-a-tor [rə]+[frɪg]+[ər]+[eɪ]+[tɝ]
oc-ca-sion-al-ly [ɔk]+[keɪ]+[ʒən]+[əl]+[liː]
op-er-a-tion-al [ɔp]+[ɝ]+[eɪ]+[ʃən]+[əl]
op-por-tu-ni-ty [ɔp]+[pə]+[tjuː]+[nə]+[tiː]
doc-u-ment-a-ry [dɔk]+[juː]+[ment]+[ə]+[riː]
mo-men-tar-i-ly [moʊ]+[ment]+[ter]+[ə]+[liː]
in-ter-na-tion-al [ɪn]+[tɝ]+[næ]+[ʃən]+[əl]
na-tion-al-i-ty [nə]+[ʃən]+[æl]+[ə]+[tiː]
ac-cu-mu-la-tion [ək]+[kjuː]+[mjuː]+[leɪ]+[ʃən]
en-vi-ron-ment-al [en]+[vɑɪ]+[rən]+[ment]+[əl]
so-cial-i-za-tion [soʊ]+[ʃəl]+[ɪ]+[zeɪ]+[ʃən]
qual-i-fi-ca-tion [kwɔl]+[ɪ]+[fɪ]+[keɪ]+[ʃən]
ひとまずこれで単語はおわりにします。
ずいぶんやりましたね・・・ご苦労様です!
次はいよいよ「文」へ参ります。
[5] 文(センテンス)の読み方
文(sen-tence)を読むときであっても、まったく同じ方法で、音節の積み重ねとして読めばよいわけです。
(例文)It was ver-y cold.
この文ですと全部で何音節あるでしょうかーーー5音節です。単語は4つです。
ですから、よみかたとしては5音節ある単語を読むのと基本的に同じです。
ただし、文になったと云っても一つ一つの単語をおろそかにしないでください。
単語をよむときに音節を大事にするのとおなじで、文をよむときに単語を大事にしていただきたいのです。
日本語はサラサラと流れるような言語であり、英語はガシガシとブロックやれんがをつみあげるような言語です。ですから、その日本語方式をもちこまず、一つ一つの単語をながさずにしっかりと声に出し、それを積み上げていってほしいのです。
サラサラと読まずに、できるかぎり休憩を加えながら、がしりがしりと読む・・・これをやれば読解力も飛躍的に向上するはずです。
コツとしては、音節や単語をしっかり読んで、2〜3語ずつくらい明らかに固まりと思われるところで、休憩をとることです。
それでは、手を叩いて声にだしましょう。下記の練習方法⑤と⑥が良いのではないかと思います。
⑤ 単語どうしの間をあけてとてもゆっくり読む、音節は間をあけない。
手拍子「パン・・(1秒)・・パン・・(1秒)・・パンパン・・(1秒)・・パン・・(1秒)・・パン」
よみあげる「イトゥ・・・ウォズ・・・ヴェア/イー・・・コウルド」
⑥ 間をあけずによみあげる。2〜3語のよいところで休憩をとる。
手拍子「パンパンパン・・(1秒くらい)・・パンパンパン」
読み上げる「イトゥ/ウォズ・・・ヴェア/イー/コウルド」
これが文の読み方となります。
さらに例文をつづけます。
(例文)It was a few days af-ter Christ-mas.
[ɪt] [wɔz] [eɪ] [fjuː] [deɪz] [æf] [tɝ] [krɪs] [məs]
何音節あるでしょうかーーー9音節です。
単語は7つで、音節は9つですね。
⑤「パン・・・パン・・・パン・・・パン・・・パン・・・パンパン・・パンパン」
⑥「パンパン・・・パンパンパン・・・パンパン・・・パンパン」
「イトゥ/ウォズ・・・エイ/フュウ/デイズ・・・アフ/ター・・・クリス/マス」
という二つの方式で手を叩きながら読んでみてください。
あ、すみません、言うのを忘れていましたが、冠詞の「a」はゆっくり読むときは「エイ」と言うことにしましょう。
ゆっくりのときは[eɪ]で、ふつうの速度のときは[ə]になります。
この講義では、とにかく丁寧にゆっくり読んでむことが大切と説きますので、不定冠詞の「a」はすべて [eɪ] と読むことに決めちゃってもよいくらいです。
定冠詞「the」は、ゆっくりのときは [ðiː] と言い、ふつうの速度のときは [ðə] です。当面のあいだはすべて [ðiː] と発音してまったく支障ありませんよ。
さらにもう少し長い文をやってみましょう。
(例文)I decided to visit my friend, Mr. Sherlock Holmes.
単語はいくつか、音節はいくつか、数えてみてくださいーーー単語は9つ、音節は12ありますね。
音節で区切りますと、I de-cid-ed to vis-it my friend, Mr. Sher-lock Holmes.
発音記号を一応書いておきますと、[ɑɪ] [diː][sɑɪd][ɪd] [tuː] [vɪ][zɪt] [mɑɪ] [frend] [mɪs][tɝ] [ʃɝ][lɔk] [hoʊmz]
となります。
それでは同じく、⑤のやりかた、⑥のやりかたで声をだしてみてください。
そして例の転写法(③④の方式)は勝手にどんどん導入してみてくださいね。
⑤単語ごとに休む。
パン・・パンパンパン・・パン・・パンパン・・・パン・・パン・・パンパン・・パンパン・・パン
⑥単語をつなげる。2〜3語の固まりで休む。
パンパンパンパン・・パンパン・・パンパンパン・・パンパンパンパンパン
I de-cid-ed, to vi-sit, my-friend, mis-ter-sher-lock-holms.
どうですか、楽しくなってきましたか。
ここらで休憩をいれたい方は、一息いれてください。おつかれさまです!!
それでは、一気に「文」(sentence)から「文章」(essay/story)に駆け上がりまして、やっと今日の解説をおわりたいと思います。
つぎの文章を、基本的には、⑤と⑥の方法をつかいながら、区切るところは区切って、ゆっくり、じっくりと味わって読んでみてください。
例の「転写法」は自由に組み合わせながら読みあげてください。
ちょっと長いですが楽しんでください。全部で151単語あります。
たっぷり時間をかけて、焦らず、じっくり読むのがコツです!
サラサラ読まずに、ガシリ、ガシリと、重たいレンガを並べるように声を出して読んでください。
スピードをあげて読めるようになることが目的ではありません。目的は、英語の音がどのように組み立てられるか(ひいては英語の文法がどのように組み立てられているか)を理解することです。
一つ一つの音節、一つ一つの単語、一つ一つの句を、おろそかにせず、読んでみてください。今日学んでいただいたように、しっかり間をあけて、ときにはひっつけたりしながらじっくり声にだしてください。
コツは、どんどん前に進もうとしないことです。
手を叩いて読むことを忘れないように!
それが英語の基礎を固めるため、今日の一番大事なことです!
うえと同じもので音節区切りをして、さらにセンテンス中の句分けのだいたいの例を示したものを用意しましたので、参照してください。こちら
さらに、話のつづきをやってみましょう。
意味は分かっても分からなくても良い。発音は正しくても正しくなくても良い。今日は、しっかり「よみかた」をワークショップ的に体験していただきたいのです。これが出発点です。
例文つづき(準備中)
音節区切り、句分けしたもの(準備中)
はい、しっかり手を叩きながら、自分の声に耳をかたむけながら、読むことができたでしょうか。
ゆっくり読めば読むほど、英語がちかづいてくると実感できるはずです。
はい、今日は長かったですね!
・手拍子を打つことで「レンガ」を掴む
・レンガが並ぶときは、間をあけてもよい、ひっつけてもよい
ということを理解するのが今日の目的でした。
お楽しみいただけたでしょうか。これで、第四回講義「英語のよみかた」をおわります。
次回は第五講義ではリスニングの方法や原理についてお話ししようと思います。
それでは第五講義を書き終わるまで、すこしお時間をください。
第四回講義「よみかた」について質問やご意見 → こちら 第五回講義「リスニング」へすすむ → こちら(作成中)
基礎からかためる英語講義(全15回)講義予定
第一講義 音節
第二講義 母音
第三講義 子音
第四講義 単語、文、文章(よみかた)
第五講義 リスニングその1
第六講義 文法その1
第七講義 文法その2
第八講義 リスニングその2
第九講義 日本語と英語
第十講義 越境
補講 第十一講義から十五講義の内容について
Lesson 11 - TBA
Lesson 12 - TBA
Lesson 13 - TBA
Lesson 14 - TBA
Lesson 15 - TBA
Final Exam
Graduation Ceremony