「SWINGについて」(その2)

「その2」です。読んで下さっている方、本当にありがとうございます。
モダンジャズの教科書などを読むと、「8分音符はハネて演奏する」というようなことが書いてあります。「ハネは8分音符と3連符のあいだがもっとも心地よい」ともだいたい書いてあります。この意味は、例えばBPM=120の場合、4分音符は0.5秒間です。8分音符はその半分ですから0.25秒間です。3連符のハネなら0.33秒間と0.22秒間になります。「もっとも良い」とされる「中間」は、最初の8分音符は例えば0.30秒間にして、次の8分音符は 0.20秒間にして演奏しましょう、という意味です。


●図1
 

これが問題です。ほんまにコレでええんか?という話しなのです。おそらく多くのミュージシャンのみなさん気付いていると思うのですが、実際にレコードを聴くとそんな風には演奏していないことがわかります。ピョコピョコとハネている場合もあれば、まったくハネていないのにスウィング感がでている演奏もありま す。ハネたらいい、という問題ではないように思われるのです。この問題をひもとくカギの一つはアンサンブルにあります。
 
例えば、モダンジャズのカルテット編成の場合、ベースは3連符フィーリングだが、ドラムは少し緩めのハネ具合、つまり中間で、ピアノはバッキングのときはハネているがソロではハネていない、というようなことが起こっています。(あくまで例です。)
「ファンク」でいうなら、一例としてJAMES BROWNの「SEX MACHINE」(1970年録音)では、(16分音符が)ベースはほとんどイーブンで、ドラムは無茶苦茶にハネていて3連符シャッフルに限りなく近いようです(ただし完全そうではありませんが)。リードギターはハネているような気もしますが、僕もよくわかりません。リズムギターは(かなり聴こえづらいですが)ほぼ全くハネていないようです。ヴォーカルは2人ともハネていないように聴こえます。(参照 別稿「8分音符と16分音符のはなし」)
 
  謎がわかってきたようです。つまりハネたりハネなかったりは、アンサンブルにおける個人の自由なのです。「この曲はハネる」とか「この曲はハネない」とかではなく、「オレはこの曲ではハネたほうがカッコいいと思うのでハネるぞ」とか「ハネたらダサいからイーブンでいこう」とか、「ドラムがハネてるからベース担当のオレはハネないでおこう」とか、そういう風に考えてるんじゃないか、ということです。それから「俺はこの曲ではちょっとだけハネよう」とか「ここはめっちゃハネるぞ」とかやっていると思われます。当然ですが、各ミュージシャンがそんなことを「考え」ながらやっているわけではないでしょう。無意識と いうか、もしくは幼少時からの習慣として、適宜にそういう音楽的判断をしていると思います。
 
  ここまで読んでいただけたら別の疑問がでてくると思います。それは、ミュージシャン各自が、ハネたりハネなかったりを個人レベルで勝手に判断して全体のバンドのサウンドが狂わないのか?ということです。(「その3」へつづく)