25周年記念にあたって

 
オーサカ=モノレール結成25周年記念にあたって


 そうか、あれから25年が経ったのか・・・。
 そもそもオーサカ=モノレールの目標は何だったろう? 果たしてそれは達成されたのだろうか・・・?

 いろいろあります。「60年代のJBオーケストラのサウンドを出す」・・・これは3〜4割くらいまでなら達成されたかもしれません。「SOUL/FUNKの映画を配給する」という夢は叶いました。ヒーローやヒロインに会うことができたのも、夢がかなった瞬間でした。ジェイムズブラウン、パムグリア、メルヴィンヴァンピーブルズ、その他大勢。
 演奏旅行で多くの場所や国々を巡って訪れる、という目標も実現しました。そしてマーヴァホイットニー、フレッドウェズリー、マーサハイ、サージョークォーターマンとの共演。
 「プライベートジェットでツアーをする」という夢は実現できていませんが、これはまあ出来なくても構いません。

 そんなことより、僕がそもそもオーサカ=モノレールでやろうと考えていたことは何だったか・・・。
 それは、吉田ルイ子の写真をみたときや、『ワッツタックス』を観たときや、そしてソウルやゴスペルミュージックを聴いて心動かされたときの「あの感じ」。「あの世界」にどうにかして僕も足を踏み入れさせてほしい。手で触ってみたい。できることなら、自分でも同じような波動を発生させてみたい。それでした。
 あの、「同胞は団結しよう!」っていうスローガンと、個人主義のエゴイズムがドロドロに混ざり合っているような不思議な空気をもつ時代。ゴスペルの高揚性なのかブルーズの官能性なのか、いまだ判別できない謎の低周波エネルギー。アフリカ大陸、カリブ諸島、アメリカ大陸、そしてヨーロッパの、リズム・音階・音律がレイヤーを成して奥深く混ざりあっている音楽。しかもそれはあの超大国アメリカの最下層からやってきたダウンホームな音楽なのだ。いや違う、虚しい夢を売る商業音楽だ。いや違う、四百年・四千万人の権利闘争と一体となった魂の音楽なのだ・・・。そういう葛藤や矛盾。それを自分なりに消化して、体現してみたい。

 数年前の夏のある夜、盆踊りに出かけたら、祭りはすでに終わって後片付けがおこなわれていました。「あれ、どこかで味わったことのある感覚だぞ」と妙な興奮をおぼえました。
 僕が吉田ルイ子の本を初めて読んだのは1991年ごろでした。その時点で、"Civil Rights Movement"とか"Soul Music"とか"Black Power"とか"Funky Music"という名の「祭り」(不謹慎な喩えかもしれないが)は、とうの昔に終わっていました。そうとは知らずいそいそと出かけたのは愚かだったか、、。いや、そうでもないだろう。もしかしたら祭りはまだやってるかもしれない。あらたに興すことだってできるかもしれない。問題はこれからのことなのです。

 ご存知のように、いま、オーサカ=モノレールは、山縣賢太郎&淡路泰平(tp)向井志門(ts)速水暖&池田雄一(g)大内毅(b)木村創生(d)そして僕という顔ぶれで、これで毎週2回も3回もリハーサルスタジオで練習しています。バンドの息も相当に合ってきて、要するに、また新しい黄金期(〈第八黄金期〉と僕は呼んでいる)が始ったばかりです。
 そしてそのハイライトは、何回目かのヨーロッパ遠征、「インプレッションズ」や「ジャクソン・シスターズ」とのツアー、そして二回目のアメリカ遠征になるはずなのです。

 四半世紀やってこれたのは、苦労をともにしてくれたバンドメンバーと、途絶えることなく足を運んでくださるリスナーの皆さんのお陰です。
 すみませんけれども、まだまだ頑張りますので、今後とも応援を賜りたく、なにとぞ宜しくお願いします。

 中田亮

25 year show flyer Bオリジナル1101.jpeg

ビールとデモ

 

 すこし経ちますが、ステイプルシンガーズの名曲「Respect Yourself」を翻訳してみました。この曲は、1971年に発表された社会メッセージソングでした。
「Respect Yourself」by ステイプルシンガーズ

 翻訳に取り組んでみて初めて分かったのですが、この歌は、タイトルから連想されるような「自分を大切にしよう」という歌では無かったのです。むしろその逆であって、この歌は、「他人を大切にしよう」という歌だったのです。恥ずかしながら、いままで僕はまったく気付かずに聞き流していました。
 《仲間というのは自分自身のことである。その仲間を敬うことさえできなければ、どうして黒人全体の尊厳を勝ち取ることができようか》といっています。黒人コミュ二ティーで、いがみあったり、お互いを貶めようとすることがあるので、それを注意しているのです。

   さて、いきなり話がとびます。今年2017年の夏のことを書きます。去年にくらべてぐっと涼しい、まったく暑くない夏でした。
 ある金曜日、僕は国会前にいました。いわゆる共謀罪法案の審議がとじようとしているところで、デモがおこなわれていたので僕も行ったのです。国会前で、僕たちはスピーチを聞いたり、「共謀罪、反対!」「平成の治安維持法、反対!」と声をあげました。
 夜九時半ごろだったでしょうか、デモが終わり、僕は仕事場に帰ることにしました。日比谷公園の駐車場に車をとめてあったので、国会正面から霞ヶ関のほうへ歩いていきました。静かな日比谷公園のなかを通り抜け、まもなく駐車場にたどりつくとき、あるものに思わず遭遇しました。
 それは、連なる電球に照らされて、会社帰りの人でおおいに賑わうビアガーデンでした。夏のあいだだけ、日比谷公園の噴水広場がビアガーデンになっているのです。無数のテーブルと椅子が並べられ、それを取り囲むようにして多数の売店がおいしそうな肉やら何やらを売っています。
 それを見て、率直なところ、僕は怒りがふつふつと湧いてきました。
 ・・・この数年、この日本ではとんでもない法案がつぎつぎと成立して、日本という国が崩落の一途をたどっている(という歴史認識を僕はもっている)。それなのに、丸の内や霞ヶ関といった東京の中心にいる人々はこんなところでビアガーデンを楽しんでいる。なんということだろう。
(・・・ここに居るやつら全員、うしろから膝カックンやったろか!)
 そう思いながら、その宴のなかを通り抜けました。暴走しつづける安倍内閣をなんとかして食い止めなくてはならないと、共謀罪反対のために集まった人は、今日はたったの数百人ほどでした。その人達は、真っ暗ななか二時間ほど声をあげたのに。
 そんなわけで、やり切れない気持ちで車のエンジンをかけたのです。

 しかし、です。車を走らせながら考えました。
 ・・・落ち着いて考えよう。ビールを飲むことは何も悪くない。むしろ、いいことだ。いや、それどころか、そもそも僕が今日こうしてわざわざ国会前に出向いたのも、この国に住む人なら誰でも楽しくビールを飲めるようにあってほしいと願うからだった。そのビールを飲む人を妬んでどうする。
 このビアガーデンにいる人達は、僕と同じ、ただの普通の人たちだ。僕は、全員がビールを飲めるようになるために、自分からすすんでデモに行った。たまたまその近くで、ビアガーデンが催されていた。・・・これは心から喜ぶべきことなのだ。

 そんなことを考えたのでした。
 さて、ステイプルシンガーズのメッセージと、同じでしょうか。ちょっと違うかも知れません。よく分からないけど、僕はなんとなく結びつけて考えているのです。
 「Respect Yourself」(同胞を大事にせよ → 黒人は団結せよ)を僕たちに当てはめるとすれば、「庶民は団結しろ」ということだと思います。
 もしも、現代の日本にパップ(この曲を作曲したステイプルシンガーズのお父さん)が居たとしたら、デモに行ってビアガーデンを批判するやつはパップに叱られるだろうし、ビールを飲みながらデモを批判するやつもパップに叱られるだろうと思ったわけです。

 そういうわけで、平和運動とはすなわち「誰でもビールをたのしく飲めるようにしろ!」ということである。もちろん、ミュージシャンも、楽しい曲をつくったり、ダンスパーティーをしたりしても良いのであーる。



衆院選をふりかえって

 
ブログをじっくり書きたいのですが、残念ながら時間をみつけることができませんので、箇条書きのようなぐあいで結論だけ書くことにしました。
総選挙からすこし時間が経ってしまいましたが、その総括です。

ものすごいスピードで状況が激変しましたので、勝ったのか負けたのかさえ、分からない選挙でした。
立憲民主党という「リベラルの受け皿」となりうる政党が登場したことは大きな望みだと思います。応援していきたい。
共産党が議席を減らしたことはとても残念。
希望や維新ら泡沫政党については、とくに感想はありませんが、早く消滅することを願っています。
結局のところ、勝ったのは、党内で足場を固めなおした安倍政権だったのでしょう。

もっと大事な問題があります。
それは、最初に戻って、民進党が解体したことです。大問題です。
たしかに、そもそも民進党には未来は無かったので、嘆く必要はそれほどないと思います。
それでもなお、一番重要な課題は、安倍政権がここまで腐敗・堕落しているのに、僕たち市民が民進党を応援することが出来ないというところにあると思います。

この世にはスーパーマンもサンタクロースも居ません。
政治家とはスーパーマンでもサンタクロースでもありません。
だから選挙とは・・・
「マシなほうをえらぶもの」
「自民党以外へ投票しなければならない」
(どんな権力も必ず腐敗する。だから権力を批判しつづけることは、僕たちの責務。)
こういうことを、僕たち庶民の常識として浸透させていかなくてはいけないと思います
これこそが、庶民のパワーとなるはずなのです。

それは時間のかかることでしょう。5年や10年では無理だろうと思われます。
50年かかったとしても、少しずつで良いから、やらなくてはいけないことです。


ところで、話を最初に戻します。
半ばタナボタ式で、安倍政権は足場固めに成功しました。
来年は戦後初の、世にも恐ろしい改憲が始まります。必ず来ます。
日本が、10年か20年くらいかけて、これからまだまだ崩壊していくと思います。
必死に食い止めるべきです。
音楽家は、改憲反対イベント、戦争反対イベント、人権イベントをやらなアカンと思います。

〈オーサカモノレール〉というヘンな名前のバンドを25年もやっている僕は、何を隠そう、大阪出身です。住んだことのあるのは、吹田市、枚方市、豊中市、池田市などです。

この記事では「大阪1区」について、書いてみたいと思います。
大阪1区とは、大阪市中央区、西区、港区、天王寺区、浪速区、東成区です。
僕が生まれたのは天満の追手門病院なのだそうです。
それから、やっぱり、バンドマンなので、ミナミで演奏することは多かったですから
、人並みにいろいろと思い出があります。
大阪城のあたりで働いていたこともありました。

22553415_1291199987674064_522734115_o.jpg
下記の五人が立候補しています。

  井上英孝(いのうえひでたか)維新の会、現職
  大西宏之(おおにしひろゆき)自民党、現職(比例)
  小泉修平(こいずみしゅうへい)諸派、新人
  村上賀厚(むらかみのりあつ)立憲民主党、新人
  柴山昇(しばやまのぼる)共産党、新人

このなかから一人だけ当選します。
井上英孝(維新)と大西宏之(自民)がせっているといわれています。


自民党は来年に改憲をやろうとしています。信じがたいことですが本当です。
それに、消費税を10%にあげようとしています。僕たちの生活にこんな大打撃まちがいなしのことがあるでしょうか。
(もちろん、消費税をあげても財政健全化も福祉再建もできないと思う。)
当然、維新も賛成するでしょうから、自民が当選しても維新が当選しても同じことです。

現職、維新の井上英孝が有力と目されています。
「変える!変える!」「改革!改革!」と言っているのが一番信用できません。
庶民の「なんとかして欲しい」っていう気持ちにつけこむ、一番悪い奴らだと思います。
変える気なんて無いくせに、学校の先生とか市役所の職員とかいった叩きやすいところばかり叩いて、なんかやってる雰囲気をだすのが大好きです。

維新だらけになってしまった大阪・・・いつになったら立ち直れるのだろう、と思っています。

さて、そんなことより、立憲民主党と共産党の候補が一本化されていません。
村上氏(立憲民主党)の理念やブログを、すこしばかりホームページで読みました。立憲主義や格差解消を訴えてはいるものの、その行間から「付け焼き刃のリベラリズム」を感じます。もうすこし修行してください。新自由主義的な経済政策だけを本懐とする人物と思われますがいかがでしょう。
一方、柴山氏のホームページは、案の定、見つかりませんでした。はっきり言いまして、柴山氏個人の経歴は、有権者の判断にあまり関係ないと考えます。これこそ、共産党の良いところでもあり悪いところでもあると思うのですが。

柴山氏に投票した場合(村上氏でも)、その一票はほぼ確実に死票となります。しかし、「共産党の当選を望んでいる層が、実際に何人くらい居る」という数字を残すこと(そしてそれを増やしていくこと)は、後々のために、とても大事なことです。

「投票に行ってもどうせ当選しないから投票所に行かない」というのはアカンと思います。
もし全員がそれをやったら、しまいには自民党や公明党以外の党は無くなってしまうからです。

それから、投票用紙はもう一枚あります。比例区の政党選びのほうです。
立憲民主党と共産党と社民党、この三つとも僕は良いと思います。

初の「政権交代も可能なリベラル政党」の実現へ向けて立憲民主党を応援したい。
同時に、共産党は、大阪でも野党共闘をすすめ、候補擁立を見送ることによって大きく立憲民主党の躍進に貢献すると見られています。比例で共産党に伸びてもらわないといけません。

もし仮に、僕が大阪1区の住民であったなら、
選挙区は 柴山昇
比例区は 日本共産党
へ投票することにします。

大阪1区のみなさん、おせっかいですみません。なにか間違いがあればご指摘ください。


Photo by Y.Y.


僕は生まれは大阪ですが、「出身は奈良です」と自らは言うことも多いです。
小学三年生から19歳くらいまで、奈良県生駒郡平群町というところで育ちました。
単線の近鉄電車が、二両編成で田んぼの中をトコトコ走っているところです。
(たしか、のちに四両編成になりましたが。)

僕の心のふるさと平群町をはじめ、生駒郡や大和郡山市あたりは「奈良2区」です。

22553601_1291905187603544_1144527389_o.jpg

下記の三人が立候補しています。

 松本昌之(まつもとまさゆき)希望の党、新人
 霜鳥純一(しもとりじゅんいち)共産党、新人
 高市早苗(たかいちさなえ)自民党、当選七回、前総務大臣

このなかから一人だけ当選します。
やはり、高市早苗が当選すると目されています。


与党は来年に改憲をやろうとしています。信じがたいことですが本当です。
それに、消費税を10%にあげようとしています。僕たちの生活にこんな大打撃まちがいなしのことがあるでしょうか。
(もちろん、消費税をあげても財政健全化も福祉再建もできないと思う。)

武器輸出、安保法制、特定秘密保護法、共謀罪・・・この無茶苦茶な安倍政権を終わらせるためにはどうしたら良いでしょうか。
希望の党はこの悪政を終わらせることはできないと考えています。
もっと悪くなると思います。
共産党の霜鳥純一さんに投票することにします。
その一票は死票となる可能性が高い。しかし、「共産党や立憲民主党の当選を望んでいる層が、実際に何人くらい居る」という数字を残すこと(そしてそれを増やしていくこと)は、後々のために、とても大事だと思います。

「投票に行ってもどうせ当選しないから投票所に行かない」というのはアカン。
もし全員がそれをやったら、しまいには自民党や公明党以外の党は無くなってしまうからです。

それから、投票用紙はもう一枚あります。比例区の政党選びのほうです。
奈良二区は〈近畿ブロック〉になります。
立憲民主党と共産党と社民党、この三つとも僕は良いと思います。

初の「政権交代も可能なリベラル政党」の実現へ向けて立憲民主党を応援したい。
同時に、共産党は、野党共闘をすすめ、候補擁立を見送ることによって大きく立憲民主党の躍進に貢献すると見られています。比例で共産党に伸びてもらわないといけません。

もし僕が奈良二区の住民であったなら、
選挙区は 霜鳥純一
比例区は 日本共産党
へ投票することにします。


Photo by Y.Y.


恒例の「どこに投票するか?」です。


僕は、この12年ほど、横浜市青葉区に住んでいます。
横浜市緑区・青葉区あたりは「神奈川8区」です。

与党は来年に改憲をやろうとしています・・・。信じがたいことですが本当です。
また、消費税を10%にあげようとしています。僕たちの生活にこんな大打撃があるでしょうか。
あまりにも重要な選挙です。今週末に迫りました。
どこに投票すればよいでしょうか。

衆議院選挙は小選挙区比例代表制とよばれる制度でおこなわれます。
つまり、僕たち有権者は、二枚の紙を渡されて、候補者を一人と、政党を一つ、選びます。

IMG_20171014_122134_resized_20171017_080055499.jpg
下記の四人が立候補しています。

 加藤リカ(かとうりか)共産
 大西常樹(おおにしつねき)諸派、会社役員
 江田憲司(えだけんじ)無所属、現衆議員
 三谷英弘(みたにひでひろ)自民、元衆議員

このなかから一人だけ当選します。
地盤が堅い江田憲司が当選すると目されています。

もし、あの民進党の解党劇がなければ、民進(江田) vs 自民党という構図になっていたでしょうから、江田氏を応援する心づもりをしていました。
しかし、実際には民進党は無くなってしまい、江田氏は選挙後にどうするのかサッパリわかりません。希望の党に合流するかどうか悩んでいたくらいなのですから。
僕の本分とは、反対票を入れることだと思います。

中学校給食など子育て政策に力をいれてきた人物である、共産党の加藤リカさんに投票することにします。
僕の一票は死票となる可能性が高い。でも、「共産党や立憲民主党の当選を望んでいる層が、実際に何人くらい居る」という数字を残すこと(そしてそれを増やしていくこと)は、後々のために、とても大事だと思います。

「投票に行ってもどうせ当選しないから投票所に行かない」というのはアカン。
もし全員がそれをやったら、しまいには自民党や公明党以外の党は無くなってしまうからです。

次に、比例区の政党選びのほうです。
神奈川8区は〈南関東ブロック〉になります。
立憲民主党と共産党と社民党、この三つのどれかがよいと思います。
まだまだ先は見えませんが、初の「政権交代も可能なリベラル政党」の実現へ向けて立憲民主党を応援したい。

選挙区は 加藤リカ
比例区は 立憲民主党
へ投票することにします。

 今日は、本当に分かり切ったようなことを、わざわざ理屈をこねて書いてみようと思います。
 理論をまず説明して、つぎに練習問題を解きます。それから応用問題をやって、最後に、実際の僕たちの生活にどのように使うかを説明したいと思います。
 
 〈囚人のジレンマ〉という、とても興味深い「例え話」があります。色々な方面でよく引き合いにだされるのでご存知の方も多いと思います。

囚人のジレンマ
 いまここに、ある事件における二人の容疑者が警察の取り調べをうけています。この二人は共犯であり実際にこの事件の犯人です。二人は、べつべつの部屋にいて、連絡をとりあうことはできません。あなたはこの容疑者のうちの一人です。つまり、「どうにかして刑を軽くしてもらいたい。できることなら釈放されたい」ということです。
 二人とも黙秘をつづけています。そこへ、取り調べ官が条件を持ちかけます。
 「別室にいる相棒は黙秘をつづけている。このままお前だけ自白してくれたなら、お前だけ釈放してやろう」
 「逆に、相棒が自白して、お前はこのまま黙秘をつづけるなら、相棒は釈放となり、お前は監獄おくりとなる」
 当然ながら、別の部屋にいる相棒にも同じ条件がだされていることでしょう。あなたは次のように考えます。
 (このまま自分が黙秘をつづければ、自分だけ監獄送りになってしまうのは時間の問題だ。)
 (もし自白すれば、わずかではあるが釈放される可能性が開かれる。)
 (よりマシなのは、自白するほうの選択肢である。)
 そういうわけで、あなたは自白します。ところが、あなたの相棒もまったく同じ条件ですので、同様に自白します。かくして、二人そろってあっけなく刑務所に送られてしまいました。

 はて、よく考えて行動したはずなのに、二人にとって最悪の結果を生んでしまいました。さて一体、あなたはどこで間違ってしまったのでしょう・・・?

 これが〈囚人のジレンマ〉と呼ばれる問題です。(本当は、数式が登場してマトリクスを書いて考えるのですが、エッセンスとしては上記の説明で十分です。)

 さて、その答えを書くまえに、これとまったく同じような、現実に発生した「練習問題」にいきます。
 2015年のことです。大規模な反対運動の起こった「安保法案」が国会に提出され、衆議院・参議院を通過したうえに成立しました。
 その際、「日本を元気にする会」という政党(当時代表=松田公太参議)がありまして(いまでもありますが)、安保法案についていくらかは反対寄りの姿勢をもっていました。しかし、切り崩し工作があったとみられて彼らは交換条件付きの賛成に転じました。「付帯決議」(この際、内容はともかく)というものを条件に、安保法制に賛成の側になったわけです。
 松田氏はおよそ下記のような意味の釈明をしました。
 《いまさら、いくら反対を叫んだところで、もはや法案の可決は避けられない。私たちは、無駄な抵抗はやめて賛成票に転じる交換条件として〈付帯決議〉というものを与党に承諾させた。効力はすくないとはいえ、安保法制にいくらかの縛りを与えたことは、よりマシな成果である。私のこの決断が正しかったことは歴史が証明するだろう》
 この判断は一見、合理的にも思われるかもしれません。「よりマシ」な結果をうんでいるからです。
 彼の選択は正しかったのでしょうか? 間違っているとするならば、一体どこが間違っているのでしょうか?

 僕なりの答えを書きます。
 〈囚人のジレンマ〉の設問において、この「囚人」がとるべきだった行動とは「誰が何を言おうとも黙秘を続ける」です。それが出来ていれば二人とも自由の身となれたのです。つまり、実は問いは「オプションAをとるべきか、オプションBをとるべきか」ではないのです。「Aをとればこうなる、Bをとればこうなる、どちらが得だろうか」と考えるところに間違いがありました。つまり、「自分は何者であるのかを考え、出来る出来ないに関わらず、何を為さねばならないのか」を考えて行動すれば良い・・・これが「解答」です。
 別の言い方で説明すると、「長期的かつ包括的に考えなければならない」ということです。「長期的」というのは、つまり目の前の選択肢とその結果だけで意思決定してはならない、ということです。「包括的」というのは、自分一人の行動とその結果だけで意思決定してはならない、という意味です。

 「日本を元気にする会」の問題については、もちろん「安保法制に反対しつづけるべきだった」が僕の意見です。なぜなら、「このまま反対しても、どうせ可決するのだから意味がない」という考えが「正しい」のであれば、ほかのすべての野党も交換条件付きで賛成票に回ることが「正しい」ということになります。そんなことになれば、その次の選挙で、有権者は一体どの政党に投票したらよいのか分からなくなってしまうでしょう。そうすると、いままでの支持者も失うことになり、その政党は崩壊への道をすすむでしょう。これは「正しくない」。
 まあ、よーするに、《目のまえの損得に惑わされてはダメ》《自分だけではなく全体で動くことを考えろ》って、なんだか、当たり前なことを書いているだけなんですけれども。

 さて、ようやく本題です。上記をふまえて、応用問題と実践問題の二つにまいります。
 前原誠司と小池百合子による暗躍があり、二〇年つづいた日本の最大野党・民進党(民主党)が一夜にして瓦解しました。こんな馬鹿な話があるでしょうか。はたから見ていると信じられないことでした。なぜこんなことが起こったのでしょうか。
 「ひとまずは、安倍政権を終わらせるためには必要な選択であった」と本人は主張します。はたしてこれは正しいのでしょうか? もちろん正しくありません。どこが間違っているのか? 「選択肢」で考えているからです。「こっちにつくか、あっちにつくか、どちらが議席数が多くなるか?」 当面のこと(議席数)のことしか考えていません。政治理念や有権者との信頼関係が、意思決定のプロセスに抜け落ちているのです。
 いま日本が抱えている問題はこれだけではありません。僕たち有権者も同じ問題をかかえています。あれから二週間を経たいまでも、「安倍政権を終わらせるために希望の党に投票しよう」とか、「リベラルの受け皿(立憲民主党)が誕生したのであるから、あの解党劇は喜ぶべきであった」という声もあるようです。最大野党が崩れて一番喜んでいるのは他ならぬ自民党なのに!

 長たらしいことを書きましたが、こういった僕たちの目の前にたちふさがる迷路から抜け出す方法は、まるで簡単で分かりきったようなことです。それは、僕たち庶民の一人一人が「市民としてとるべき行動をとればいい」ということです。
 具体的には、政治を椅子取りゲームのように弄ぶ者ではなく、平和や人権というものを大切に考えている政党・政治家に投票するということです。「しっかりやればやるほど得票数が増えるのだ」と野党に思ってもらわないことには何も起こらないと思うのです。
 残念ながら、「とるべき行動をとる」をやったところで、いますぐ平和や理想の社会は実現しないでしょう。自分が生きているあいだ、でさえも難しいかもしれません。でも、「とるべき行動をとる」は、当面の選挙だけでなく次の選挙、次の次の選挙に力強くつながっていくはずなのです。

 僕のブログはいつも結論は同じなんですけど・・・「よりマシな政党を応援するしかない。」ということです。この選挙では、立憲民主党、共産党、社民党を応援することが、僕たちの暮らしをよくする選択であり戦争回避の道です。分かりきったことです。
<<前のページへ 1234567891011

2019年2月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28