RAINBOW POWER(ティミー・トーマス 1973年)

 
"RAINBOW POWER" by Timmy Thomas, 1973



この国に レインボーパワーを
この国に レインボーパワーを

赤も、黄も、黒も、白も
雨があがるたびに
この国にレインボーパワーを

この国に 兄弟愛を
この国に 兄弟愛を

その人が何色だろうと
赤色、黄色、黒色、白色
雨があがるたびに
この国にレインボーパワーを

赤色も虹色のひとつ
黄色も虹色のひとつ
黒色も虹色のひとつ
白色も虹色のひとつ

すべての色がなければ虹にならない
すべての色がなければ虹にならない


America needs Rainbow Power
America needs Rainbow Power
Red, yellow, black or white
After every shower
America needs Rainbow Power

America needs love for your brother
America needs love for your brother
No matter he's red, yellow, black or white
After every shower
America needs Rainbow Power

Red is a part of the rainbow
Yellow is a part of the rainbow
Black is a part of the rainbow
White is a part of the rainbow

We need every color to make up the rainbow
We need every color to make up the rainbow






"DIZZY DIZZY WORLD" by Timmy Thomas, 1972



僕たちのすむ社会は
フラフラで グラグラ

他人を出し抜こうする人
出世に精をだすばかりの人
ささやかな夢に挑戦することさえ
許されない女の子や男の子もいた

僕たちのすむ社会は
フラフラで ガタガタ

人間どうし傷つけあってばかり
家族や親戚でさえ啀みあう
靴がないと不平を言う人
足の無い人もいるんだ

僕たちのすむ社会は
フラフラで ボロボロ

いがみ合ってばかり
いつも不安でしかたがない
街で出会う人たちも
憎みあう なんて悲しい

僕たちのすむ社会は
フラフラで ガタガタ

フラフラで グラグラな
僕たちの社会
フラフラで ボロボロな
僕たちの社会


It's a dizzy dizzy world that we live in

Everybody is trying to get ahead
Always status-climbing
What about the little boy and girl
Who never had the chance to be somebody in this world?

It's a dizzy dizzy world that we live in

People are hurting one another
Even their next of kin
We complain of having no shoes
Until we see the man who has no feet

It's a dizzy dizzy world that we live in

Everybody is hating one another
People are always being afraid
We meet each other on the street
And we hate and it's so very deep

It's a dizzy dizzy world that we live in

Dizzy dizzy world
Dizzy dizzy world


MATERIAL GIRL(マドンナ 1984年)

 
"Material Girl" by Madonna, 1984



キスしてくれる男
ハグしてくれる男
そういう男も嫌いじゃない
でもきちんと年貢を納めない男は
こっちからサヨナラ

「おねがいだから」
「ねえ頼むよ」
ぜんぜん分かってない(ダメだこりゃ)
なぜって、現ナマ即金のゼニ男
それが私の選ぶ男

この世はモノがものを云う
だからワタシもモノ・ガール
この世はモノがものを云う
そしてワタシはモノ・ガール

恋愛の相手
スローダンスの相手
そういうのも嫌いじゃない
でも私の口座残高を増やしてくれないなら
構わないで頂戴

一所懸命な男
言葉を並べたてる男
思い通りにはさせない(なるわけない)
しっかりおカネを貯めときなさい
こっちが困ったとき呼んであげる

この世はモノがものを云う
だからワタシもモノ・ガール
この世はモノがものを云う
そしてワタシはモノ・ガール

男はとっかえひっかえ
出会ってはお別れ
そういうのも仕方ない
経験を積んで私はお金持ちになった
いまや男は選び放題

この世はモノがものを云う
だからワタシもモノ・ガール
この世はモノがものを云う
そしてワタシはモノ・ガール


Some boys kiss me
Some boys hug me
I think they're OK
If they don't give me proper credit
I just walk away

They can beg and they can plead
But they can't see the light (that's right)
'Cause the boy with the cold hard cash
Is always Mister Right

'Cause we are living in a material world
And I am a material girl
You know that we are living in a material world
And I am a material girl

Some boys romance
Some boys slow dance
That's all right with me
IF they can't raise my interest
Then I have to let them be

Some boys try and some boys lie
But I don't let them play (no way)
Only boys who save their pennies
Make my rainy day

'Cause we are living in a material world
And I am a material girl
You know that we are living in a material world
And I am a material girl
Living in a material world
And I am a material girl
You know that we are living in a material world
And I am a material girl

Living in a material world
Living in a material world
Living in a material world
Living in a material world

Boys may come and boys may go
And that's all right you see
Experience has made me rich
And now they're after me

'Cause everybody is living in a material world
And I am a material girl
You know that we are living in a material world
And I am a material girl


EVERYBODY WANTS TO RULE THE WORLD
by TEARS FOR FEARS, 1984


現実世界へようこそ
もう後戻りできない
寝ても覚めても
奴らに見られてる

 だから良い子にしてなくちゃ
 人の道に外れたって気にしたら負け
 この世は 世界征服をたくらむ輩ばかり

これこそ望んでいた世界・・・
こんなはずじゃなかった・・・
君はどっちだと思う?
ただ今はとにかく――

 自由を謳歌させておくれ
 快楽を味わせてくおくれ
 いつ世界が終わるかも知れないんだから
 この世は 世界征服をたくらむ輩ばかり

  あの閃光から逃れられる場所はまだある
  手をつないでいよう 壁が崩れ落ちてくる
  その時は僕も一緒

 さあこれで完成
 消えてなくなっちゃうのは残念
 この世は 世界征服をたくらむ輩ばかり

(間奏)

呆れた連中だよ
将来の展望もないし信念もない
世界征服をたくらむ輩ばかり
ぜったい反対って言ってたのに
新聞のたった一行で影響されちゃうの?
世界征服をたくらむ輩だらけ

すべては自由のため
すべては快楽のため
いつ世界が終わるか知れない
世界征服をたくらむ輩だらけ


Welcome to your life
There's no turning back
Even while we sleep
We will find you

Acting on your best behavior
Turn your back on Mother Nature
Everybody wants to rule the world

It's my own design
It's my own remorse
Help me to decide
Help me make the...

Most of freedom and of pleasure
Nothing ever lasts forever
Everybody wants to rule the world

There's a room where the light won't find you
Holding hands while the walls come tumbling down
When they do, I'll be right behind you

So glad we've almost made it
So sad they had to fade it
Everybody wants to rule the world

I can't stand this indecision
Married with a lack of vision
Everybody wants to rule the world

Say that you'll never, never, never, never need it
One headline, why believe it?
Everybody wants to rule the world

All for freedom and for pleasure
Nothing ever lasts forever
Everybody wants to rule the world


815ビール

 
もう二〇年前になりますが、韓国ソウルへライブをしに行ったんですね、そうして厚くおもてなしくださり、夜にご馳走いただきました。
そのときのビールがたしか、「815ビール」という名前でした。
ビールの瓶に、そのように書いてあるわけです。
「中田さん、このビールの意味わかりますか」とニコニコと訊ねてくれた。
「何でしょう、わかりません・・・」
「そうですか、815というのは僕たちにとって独立記念日です」
ぱっと分からなかった。
恥ずかしい話ですが本当です。
とても友好的な会食のなかで、こういう話をしてくれたわけです。
それは、しないといけない話だからです。
韓国の人たちは、戦後何十年間も、日本との凄惨な過去をのりこえて、なんとか仲良くしようと努力している。
機会があればその話をして、しっかり乗り越えなければ友達になることも出来ません。
そんなの、常識なんです。

ところが、一部の日本のひとたち(これはほんの一部です)がそれを台無しにしているとしか言いようがありません。
一所懸命にすごろくを進めているのに、あとからやってきて、ふりだしに戻すんです。
おじいさんが大失敗をおかして、孫の代になって仲直りしようとしているのに、悪いおじいさんの肩を持つのです。
自分の罪ではないことを、あさはかにも自分の罪だと勘違いして、恥ずかしさを消すために、韓国のことを悪く言うのです。
あれは大日本帝国のおかした罪です。ぼくたちのおじいさんたちが犯した罪です。
(同時に、僕のおじいさんも、大日本帝国というものに蹂躙された被害者であることは言うまでもありません。)
そして、僕らの世代は、国として、それを引き継いで、もうぜったいにやりません、と誓うことが求められています。
ぜったいにやらない、と誓うからには、どうしたらそれをふせぐことが出来るのか、を考える責任があります。
言うなれば、「それだけ」なんじゃないかと思います。
それだけのことを一所懸命やらないといけないのに、また、韓国のことを悪く言う人がたくさん居る。
それで、歴史のすごろくが、ふりだしに戻ってしまう。

「水に流す」という言葉があります。
過ちがあっても、すぎさった昔のこととしてお互いに忘れる、という意味です。
ちょっと、僕はこの「言葉」が諸悪の根源のような気がしています。
つまり、過去の間違いを正して仲直りするためには、忘れるしか方法がない、それが美徳であるというような、ヘンな教えを日本文化に根付かせているように思います。
やられたほうは一生忘れることはありませんから、仲直りする方法はたった一つで、間違っていたことを認め、可能なかぎりの修復を行う。そして、もうやらないという姿勢を永久に持つ。
これは、それほど難しいことではないと思うのです。


追悼 メルヴィン ヴァン ピーブルズ

 
追悼 メルヴィン ヴァン ピーブルズ
ヴァンピーブルズ親子インタビュー再掲(その1:メルヴィン編)


2005年9月、憧れの人・メルヴィン ヴァン ピーブルズとその息子・マリオ ヴァン ピーブルズが来日し、僕は光栄にもインタビューの機会を頂きました。メルヴィンの『スウィート・スウィートバック』を題材にした新作『バッドアス!』公開にあわせて親子で来日していたのです。これは、寄稿した記事の元となるインタビューの書きおこしです。転載を快諾くださった諸氏に感謝いたします。


中田  最初の質問です。あなたは『スウィートバック』で巨大なお金を手にしたとされています。制作費はいくらでしたか? 

メルヴィン(以下メル)  誰も知らない。今まで言ったことはない。 

中田  (沈黙) ......。 

マリオ  もし知ったら父さんに殺されるよ(笑)。

中田  わかりました(笑)。では興行収入は? 

メル  興収は約1400万ドルだ。ただ、当時チケットが1ドルだった。今は10ドル位だから......。 

マリオ  今のお金で4000万ドル位だろうね。

メル  デカい数字だ。最初の公開では映画館はたった2館だった。政治的な内容だから、動員があるなんて誰も思わなかった。他の都市で公開する予定さえ立っていなかった。息子が監督した『バッドアス!』でも描かれているように、水曜日デトロイトで、金曜日にディープサウスのアトランタで公開された。皮肉にもね。(注※1) この2都市での大成功をみて皆は「まぐれだ。つぎの都市では成功しないぞ」と言っていた。その後、シカゴ、ニューヨーク、ボストンを廻って、ふたたび大成功しても「またまぐれが起こったぞ」と言ってたよ。その調子がつづいて全国を廻りきったのさ。 

中田  最初の公開の時、映画館に居たんですよね? 

メル  そうさ。『バッドアス!』を観たろ? 

中田  最初の上映は、あなたとカップルが数組だけで......。 

メル  いや、最初の上映では客は2人だけだった。 1500人も収容できるデカい劇場でね。15分したらその客は席を立ち、映画館に金を返せと言って帰ってしまった。2回目の上映は誰も居なかった。ところが3回目が始まる頃には、映画館の外に行列ができていた。次の曲がり角のさらに向こうまでね。とにかく1日の出来事なんだ。映画をみたらわかるよ。 

中田  奇跡が起こったのは3回目の上映だったんですね。 

メル  そうだ。人が多すぎたから、 15年間も使っていなかった2階席を開放しなければなかった。ポップコーンも売切れて...。全部映画で描かれてる通りさ。 

中田  じゃあやはり本当なんですよね。映画をみても信じられなかったので。 

メル  それだけでなく、双子の劇場オーナーと興行成績に関して賭けをしたというのも本当の話だ。特上のスーツをね。 

マリオ  父さんはそのスーツを今でも持ってるよ。 

中田  1回目の上映で空っぽだった時、どうしましたか? 泣いたりしたのですか? 

メル  泣きはしないが、もちろん悲しかったな。それに〝タフな友達〟からカネを借りていたのでね。 

中田  あれだけの偉業を成し遂げるには「決心」っていうのが重要と思うんです。この2作とも「決心」の映画だと思ってるんですが。 

メル  そうだな。だが、私にとって『スウィートバック』は14年の積み重ねの結果だった。映画をつくるぞ!って決めたのはずっと前だった。映画の勉強をしようと決心し、独学でまなんだ。アメリカには機会がないと悟り、ヨーロッパへ行った。フランス語を覚えなければならなくなった。監督になるチャンスを掴むために、小説家になろうと考えた。そうして小説家になった。(注※2) いずれにせよ、それが俺の選んだ道だったわけだ。 
何かを成し遂げようって思う時、サンタクロースは居ないと知りながら煙突のそばでサンタを待つのはバカ者だ。立ち上がって自分でやらなきゃいけないんだよ。

中田  誰かに言われてやるんじゃない、と。

メル  そうだ。映画をつくるなんてクレイジーだっていうヤツも居るさ。でも関係ないんだ。     

注記 ※ 1「ディープサウスのアトランタで公開された」.....アメリカ南部の州の中でも、サウスカロライナ州・ジョージア州・アラバマ州・ルイジ アナ州・ミシシッピ州のことを深南部(Deep south)と呼ぶ。フロリダ州とテキサス州が加わることもある。ジョージア州アトランタは深南部とは云われないと思うのですが、ここでは「人種差別の激しいところ」という意味なのかもしれない。 
※ 2「(映画監督になるためにヨーロッパで)小説家になった」.....フランスで小説「Story of A Three Days Pass」を書き、自ら監督して映画化した。


中田  あなたの楽譜を見た時は本当にビックリしましたよ。みたこともないような楽譜でしたからね。でも次の瞬間、ああこれが何かを成し遂げる人間の仕事だな、って思ったんです。 

メル  おんなじことさ。なんでも自分で自分に教えなきゃな。 

中田 アースウインド&ファイアーっていう最適な人材が居たから実際の楽器に置きかえることも可能だったんですよね。 

メル  いや、俺はすでに、アルバムを3枚だしていたよ。当時の秘書が「私のボーイフレンドのバンドを聴いてあげて」といってきてた。それがモリース(ホワイト)たちだったんだ。とても優秀なミュージシャン達だったよ。だが彼らはまだ一枚もレコードをだしていなかったよ(笑)。 

中田  サントラはSTAXレコードから発売されましたよね。 

メル  私の初期の3枚はA&M社からだしていた。だがA&Mの連中が映画を気に入らなかったんだ。それでほかを探した。STAX社は黒人経営の会社だったからそこに持っていったのさ。 

中田  あなたは STAXの映画『ワッツタックス』にも出演していますよね。 

メル  それはこの映画が成功した後の話しだ。『スウィートバック』がヒットしてサントラも売れたから、ハリウッドは『黒いジャガー』を作ろうと決め、サントラはスタックス社に頼もうと考えた。つまりこの(音楽を絡めるという)映画産業のマーケティング方法は私が開発したものだよ。『黒いジャガー』では主役俳優も無名で不安要素が多かったから、話題になり売れるサントラをつくらせるため、俺のマネをして STAX社に頼んだというわけだ。これが、STAX社が映画産業に深く踏み入ることになったいきさつだ。

中田  映画と映画音楽の関係のありかたに大きな影響を与えた、というわけですね。 

メル  もちろんだ。「影響を与えた」んじゃない。誰もやっていなかったことだ。 100%俺のまったく新しいアイデアだよ。 

中田  僕は1960年代後半から70年代前半という時期にすごく憧れがあるんです。ベトナム戦争があり、そして政治、音楽、映画、ファッション...。すべてがパワフルな時代でした。 

メル  私は新しい音楽を始めたんだ。それはいま「ラップ」と呼ばれている。なぜなら当時の音楽は、いい音楽ではあってもストーリーを伝えるようなフォーマットじゃなかった。ゲットーでの出来事を反映したような歌はなかったんだ。だからストーリを語れるようなスタイルを発明した。メロディを排し、言葉をメロディの替わりにした。これがラップになったんだ。ギルスコットヘロンも、ラストポエッツも俺に習ったんだ。その後は、ランDMC、カーティスブロウ......。それ以前の音楽は、メッセージをうまく伝えるものではなかったんだ。ウータンクラン、NWA...。そういった連中が後に続いた。映画の世界で『スウィートバック』が『バッドアス!』まで発展したように、音楽では、俺が「スポークンワード」って呼んでるスタイルから現代に〈ギャングスタ ラップ〉と呼ばれてものに続いた。 

中田  スウィートバックは、まさに革命的とも言えますが――

メル  「とも言える」じゃない。まさに「革命的」だ。 

中田  はい、そうでした(笑)。アレステッドデベロプメントが「おれたちは現在でもいまだに革命のことを語り続けてるぜ」っと唄ったのは1992年でした。どうでしょうか? 2005年の今、まだ革命のことは語られていますか?(注※3) 

メル  そうでもないな......。(しばし沈黙。)映画でも音楽でも、独占的企業は少しばかりの余裕をもたせてはいるが、政治的な側面は取り除くようにしているようだ。 

中田  打破するために何かすべきですか? できることはありますか? 

メル  私が仕事をするときは......。そうだな、私ひとり個人の力で、独占的映画スタジオや、大手レコード会社と競争するのは不可能だ。政治的になれば「ああこれは成功しないぞ」 と言われる。カネが大事で、メッセージ性は嫌われる。政治的な側面とか、権利獲得のメッセージとか、そういったものは取り除かれてしまう。 

中田  例を挙げてもらえませんか? 

メル  そうだな、ブラクスプロイテーション映画は「反革命的(カウンターレボリューショナリー)」だ。(注※ 4) 私の映画が革命的なのに対して。例えば、シャフト(映画『黒いジャガー』の主人公)は「体制」に仕えてるだろ? これではまさに反革命的だ。プロットをよく理解すればわかる。こういった事項はサブリミナルに折り込まれる。(注※5)●●が言うセリフで「********」ていうのがある。これじゃあ革命的どころか全くその逆だろ?(注※6) 

中田 子供の頃のヒーローは誰でしたか? 

メル ミラーだ。 

中田 ミラーって誰ですか? 

メル ミラーだ。「鏡」だよ。鏡を見たら映ってる人間だ。強いて挙げるならそいつだ。当時ヒーローなんて居なかったよ。 

マリオ お父さん(マリオにとってのお爺さん)は? 

メル まあな。でもアーティストとかのヒーローのことを聞いてるんだろ? 当時の映画には道化的な黒人しか登場しない。ヘラヘラヘラってな。(おどけて見せる。)そんなのがヒーローか? 当時は誰も居なかった。だから俺がヒーローを作る必要があったたんだよ。 

マリオ  映画の中のヒーローに限らず、だよね? 

中田  そうです。僕だったらモハメドアリとか、ジェイムズブラウンとか......。 

メル  ジョールイスとかかもな......。でもヒーローらしいヒーローは居なかったんだ。後になって勉強してブラックヒーローが存在していたことを知るんだ。いろんな発明をした黒人もいたけれど、黒人であることは知られていなかったんだよ。歴史は、常に「歴史的な文脈の中」でのみ語られる。「歴史的な文脈」では「黒人」 という情報は削られるんだ。昔、見本として見習うように教えられた人々は......それは奴隷だ。 

中田  わかりました。メルヴィンさんへの質問は以上です。 

マリオ  父さんは休んでもいいかな? 

中田  どうぞ。 (「その2」へつづく)     

※ 3.....60年代後半に提唱されたような " 革命 " のことを謳っている90年代以後のポップカルチャーの例としてArrested Developmentのことを挙げたつもりだったが、この曲はスパイク=リーの映画「Malcolm X」の挿入曲であったことを僕は忘れていた。当時メルヴィンはこの映画にいささか否定的で、のちに『パンサー』を製作する。 

※ 4「反革命的」.....Counter-revolutionary。「似非革命的」でもなく「反」革命的だ、とメルヴィンは言っている。 

※ 5「サブリミナルに折り込まれる」.....映画『黒いジャガー(Shaft, 1971)では、主人公・シャフトは一見、皮のコートを羽織った一匹狼の私立探偵、白人に媚びを売らない黒人、として描かれている。しかし実際のストーリーは全く逆で、警察に脅されて強制的に捜査に加担させられる、という実に皮肉な内容だった。 

※ 6.....ここは何を言っているのか聞き取れなかった。インタビューの録音テープが残っているはずなので、折りをみて聴き直します。



THE PRISONER(ギルスコットヘロン 1971年)

 
THE PRISONER by Gil Scott-Heron, 1971



どれくらいの年月が経ったのか
憎しみに囚われ
恐怖に立ちすくむ
いまの私がいる

カゴのなか
何処にも行く事ができない
自らの心に従うなら
愛する人を屠すだろう

捕われの身
ここから救い出してくれ
わたしは嘆願する
この声を聞いてくれ
お願いだ ブラザーよシスターよ
君たちが頼りなのだ

われわれの赤ん坊は
子宮のなかで足鎖をかけられ
原始人の手により醜く縛られる
産声をあげ 尻をぶたれた
腑抜け親父の家系にうまれた子
捕われの身であることを
いっときも忘れたことがない

捕われの身
ここから救い出してくれ
わたしは嘆願する
この声を聞いてくれ
私が何故逃げるのか
息子には分かってもらない

朝 仕事に向かう私
この男は一体誰なのだ
スーツを着て ネクタイで首を絞め
朝になれば 妻が泣いている
夫が捕われの身だと知って
捕われの身
ここから救い出してくれ
わたしは嘆願する
この声を聞いてくれ
妻は口には出さなくても
捕われの身の夫に我慢できないのだ

助けてくれないか
私は捕われの身
私は捕われの身


Here I am, after so many years
Hounded by hatred and trapped by fear
I'm in a box. I've got no place to go
If I follow my mind, I know I'll slaughter my own
Help me, I'm the prisoner
Won't you hear my plea?
I need somebody to listen to me
I beg you, brothers and sisters
I'm counting on you

Black babies in the womb are shackled and bound
Chained by the caveman who keeps beauty down
Smacked on the ass when they're squalling and wet
Heir to a spineless man who never forgets
Never forgets that he's a prisoner
Can't you hear my plea?
'Cause I need somebody to listen to me
I'm a stranger to my son who wonders why his daddy runs

On my way to work in the morning when I don't give a damn
Can't nobody see just who in hell I am
Hemmed in by a suit
All choked up in a tie
Ain't no wonder sometimes, near morning, I hear my woman cry
She knows her man is a prisoner
Won't you hear my plea?
'Cause I need somebody to listen to me
My woman, she don't say, but she hates to see her man chained this way
Help me, I'm the prisoner
I'm the prisoner


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