音楽と関係ある度:★★★☆☆の最近のブログ記事

ビールとデモ

 

 すこし経ちますが、ステイプルシンガーズの名曲「Respect Yourself」を翻訳してみました。この曲は、1971年に発表された社会メッセージソングでした。
「Respect Yourself」by ステイプルシンガーズ

 翻訳に取り組んでみて初めて分かったのですが、この歌は、タイトルから連想されるような「自分を大切にしよう」という歌では無かったのです。むしろその逆であって、この歌は、「他人を大切にしよう」という歌だったのです。恥ずかしながら、いままで僕はまったく気付かずに聞き流していました。
 《仲間というのは自分自身のことである。その仲間を敬うことさえできなければ、どうして黒人全体の尊厳を勝ち取ることができようか》といっています。黒人コミュ二ティーで、いがみあったり、お互いを貶めようとすることがあるので、それを注意しているのです。

   さて、いきなり話がとびます。今年2017年の夏のことを書きます。去年にくらべてぐっと涼しい、まったく暑くない夏でした。
 ある金曜日、僕は国会前にいました。いわゆる共謀罪法案の審議がとじようとしているところで、デモがおこなわれていたので僕も行ったのです。国会前で、僕たちはスピーチを聞いたり、「共謀罪、反対!」「平成の治安維持法、反対!」と声をあげました。
 夜九時半ごろだったでしょうか、デモが終わり、僕は仕事場に帰ることにしました。日比谷公園の駐車場に車をとめてあったので、国会正面から霞ヶ関のほうへ歩いていきました。静かな日比谷公園のなかを通り抜け、まもなく駐車場にたどりつくとき、あるものに思わず遭遇しました。
 それは、連なる電球に照らされて、会社帰りの人でおおいに賑わうビアガーデンでした。夏のあいだだけ、日比谷公園の噴水広場がビアガーデンになっているのです。無数のテーブルと椅子が並べられ、それを取り囲むようにして多数の売店がおいしそうな肉やら何やらを売っています。
 それを見て、率直なところ、僕は怒りがふつふつと湧いてきました。
 ・・・この数年、この日本ではとんでもない法案がつぎつぎと成立して、日本という国が崩落の一途をたどっている(という歴史認識を僕はもっている)。それなのに、丸の内や霞ヶ関といった東京の中心にいる人々はこんなところでビアガーデンを楽しんでいる。なんということだろう。
(・・・ここに居るやつら全員、うしろから膝カックンやったろか!)
 そう思いながら、その宴のなかを通り抜けました。暴走しつづける安倍内閣をなんとかして食い止めなくてはならないと、共謀罪反対のために集まった人は、今日はたったの数百人ほどでした。その人達は、真っ暗ななか二時間ほど声をあげたのに。
 そんなわけで、やり切れない気持ちで車のエンジンをかけたのです。

 しかし、です。車を走らせながら考えました。
 ・・・落ち着いて考えよう。ビールを飲むことは何も悪くない。むしろ、いいことだ。いや、それどころか、そもそも僕が今日こうしてわざわざ国会前に出向いたのも、この国に住む人なら誰でも楽しくビールを飲めるようにあってほしいと願うからだった。そのビールを飲む人を妬んでどうする。
 このビアガーデンにいる人達は、僕と同じ、ただの普通の人たちだ。僕は、全員がビールを飲めるようになるために、自分からすすんでデモに行った。たまたまその近くで、ビアガーデンが催されていた。・・・これは心から喜ぶべきことなのだ。

 そんなことを考えたのでした。
 さて、ステイプルシンガーズのメッセージと、同じでしょうか。ちょっと違うかも知れません。よく分からないけど、僕はなんとなく結びつけて考えているのです。
 「Respect Yourself」(同胞を大事にせよ → 黒人は団結せよ)を僕たちに当てはめるとすれば、「庶民は団結しろ」ということだと思います。
 もしも、現代の日本にパップ(この曲を作曲したステイプルシンガーズのお父さん)が居たとしたら、デモに行ってビアガーデンを批判するやつはパップに叱られるだろうし、ビールを飲みながらデモを批判するやつもパップに叱られるだろうと思ったわけです。

 そういうわけで、平和運動とはすなわち「誰でもビールをたのしく飲めるようにしろ!」ということである。もちろん、ミュージシャンも、楽しい曲をつくったり、ダンスパーティーをしたりしても良いのであーる。



衆院選をふりかえって

 
ブログをじっくり書きたいのですが、残念ながら時間をみつけることができませんので、箇条書きのようなぐあいで結論だけ書くことにしました。
総選挙からすこし時間が経ってしまいましたが、その総括です。

ものすごいスピードで状況が激変しましたので、勝ったのか負けたのかさえ、分からない選挙でした。
立憲民主党という「リベラルの受け皿」となりうる政党が登場したことは大きな望みだと思います。応援していきたい。
共産党が議席を減らしたことはとても残念。
希望や維新ら泡沫政党については、とくに感想はありませんが、早く消滅することを願っています。
結局のところ、勝ったのは、党内で足場を固めなおした安倍政権だったのでしょう。

もっと大事な問題があります。
それは、最初に戻って、民進党が解体したことです。大問題です。
たしかに、そもそも民進党には未来は無かったので、嘆く必要はそれほどないと思います。
それでもなお、一番重要な課題は、安倍政権がここまで腐敗・堕落しているのに、僕たち市民が民進党を応援することが出来ないというところにあると思います。

この世にはスーパーマンもサンタクロースも居ません。
政治家とはスーパーマンでもサンタクロースでもありません。
だから選挙とは・・・
「マシなほうをえらぶもの」
「自民党以外へ投票しなければならない」
(どんな権力も必ず腐敗する。だから権力を批判しつづけることは、僕たちの責務。)
こういうことを、僕たち庶民の常識として浸透させていかなくてはいけないと思います
これこそが、庶民のパワーとなるはずなのです。

それは時間のかかることでしょう。5年や10年では無理だろうと思われます。
50年かかったとしても、少しずつで良いから、やらなくてはいけないことです。


ところで、話を最初に戻します。
半ばタナボタ式で、安倍政権は足場固めに成功しました。
来年は戦後初の、世にも恐ろしい改憲が始まります。必ず来ます。
日本が、10年か20年くらいかけて、これからまだまだ崩壊していくと思います。
必死に食い止めるべきです。
音楽家は、改憲反対イベント、戦争反対イベント、人権イベントをやらなアカンと思います。

横浜市長選挙、どこに投票するか。

 
僕は2005年以来、この12年ほど横浜市民です。
横浜市は、日本最大の市町村です。これは大きいです。
横浜市長の椅子は、370万人の暮らしに対してとてつもなく大きな権限・責任を持っています。

さらに、いま、この横浜市長選挙の結果が国政に与える影響は非常に大きいと言われています。


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候補者は三人です。

林文子(71)・・・・・元BMW東京代表取締役、ダイエー代表取締役。二期目現職。
長島一由(50)・・・・・元フジテレビ報道局、元逗子市長、映画監督、元衆議院議員(民主党)。
伊藤大貴(39)・・・・・元日経BP社、前横浜市議(緑区、民進党)。


いつものことながら、選挙は〈消去法〉で〈よりマシ〉を選ぶ、です。
まず一番最初に、自民公明の公認候補である林文子氏を消去します。
加えて、今回の選挙の争点とされる「カジノ建設」についても、僕はカジノ大反対なので、現職は真っ先にはずします。

つぎに、ともにカジノ反対を掲げている、残り二候補のどちらを選ぶかです。

民進系で、共産・社民・自由の応援をとりつけている伊藤大貴候補のほうが優位と目されています。
長島候補に投票することは死票となる可能性が高いでしょう。
市民の暮らしをより重視する姿勢も評価して、僕は伊藤候補に投票することにします。


ただし、伊藤氏は、若すぎるようだし、実力を備えた市長候補とは僕には思われませんでした。
この大きな横浜市で、四年も前から市長選があることなど、分かりきったことであったにも関わらず、有力な候補を擁立できなかった野党のみなさん、とくに民進党は、
厳重注意処分です


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投票日の7月30日は、ちょうどフジロック フェスティバルに出演です。すでに、区役所にて不在者投票をしてきました。
伊藤大貴氏に一票を投じてきました。

陳舜臣の言葉

 
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作家・陳舜臣(1924-2015)の言葉。

《私は、日本の国籍を取っても、中国的な生き方をしたほうが日本のためになる、という意見を持ってるんですよ。
中国的な考え方を持って、言葉もできる、料理も、中国的な人が一人増えたほうが、日本の社会をより豊かに奥行きのあるものにすることではないかと。》

NHK『あの人に会いたい』(2015年6月6日放送)より


陳舜臣は、神戸に住む台湾人の貿易商の家庭に生まれましたが、台湾は日本の植民地であったので、日本人として生まれました。故郷の神戸で「支那人」として差別を体験します。終戦にともない、自動的に台湾国籍となったため、大学での教員の道を断念せざるをえませんでした。その後、作家となってから、本人の意思で中国の国籍を取り、のちに天安門事件をきっかけに中国籍から日本国籍を取得しました。
祖国とは何か。国とは自分にとって如何なる存在か。そして、民族国家の枠組みを超えて、「大同」という概念を深く思索した人生であったとのことです。

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まもなくヨーロッパ

 
ヨーロッパへの出発日は3/29、帰国日は4/30と決まりました。
いまのところ、ヨーロッパ滞在が32日間、ライブは決定済が24本です。

今回の新しい都市は、ベルギー、スイス、イタリアなどは初めての国となります。(イタリアは、前にサルディニア島に行ったけど。)

いろいろありますが、「バルティック・ソウル・ウィークエンダー」という「ソウル祭り」がありまして、とても楽しみです。古いアメリカの音楽を愛好する人が多いヨーロッパならではですね。リオン・ウェア、アン・セクストン、シュープリームスなども出演するそうです。
それから、「ホルムファース・ファンク・フェスティバル」というのが、イギリスの北のほう、マンチェスターから車で1―2時間のところで開催されます。ちょっと奇妙なかんじもするフェスで興味津々であります。それほど大規模なフェスではないでしょうが楽しいものになると思う。なんとまあサー・ジョー・クォーターマンも出演します。

ホームページの写真すこし更新されました。写真はコガツネオ氏です。とても深みがあってカッコいいテイストをだしてくれるフォトグラファーです。
http://fotologue.jp/t-world/

6-7月には、ヨーロッパのフェス廻りと、人生初の北米ツアーです。詳細は書けないのですが、すでにカナダの大型フェスティバルに出演が決まっています。

今年は中規模のツアーでヨーロッパへ3回も行く事になりそうです。
春が来るまでにバンドを仕上げる必要があります。




Photo courtesy of Nu Popes.

映画『あらかじめ失われた恋人たちよ』

 
音楽と関係ある度:★★★☆☆


映画『あらかじめ失われた恋人たちよ』(1971年ATG、田原総一朗監督)を観た。
とてもよかった。★★★★☆

12月にDVD発売。こないだのにもまして、ブックレットが充実していて大変良い。プレスリリースのレプリカ、16ページのブックレット。








田原総一朗の、最初にして最後の劇映画の監督作で、桃井かおりの初出演作品。

学生運動あがりの(と思われる)主人公(石橋蓮司)はかっぱらいや万引きをしながら旅をしている。町でであった若い聾唖者の男女(加納典明・桃井かおり)になぜか惹かれて行動をともにする。

監督が不慣れだったため現場は相当混乱し、桃井かおりもいろいろあったとのこと。
撮影中、毎晩、田原が石橋蓮司らに吊るしあげられていたらしい。現場で石橋が「実存だ!」「実存かけてんのか!」と連呼していたというエピソードが可笑しい。


主人公も最後には言葉を捨てる。主題/設定/ストーリーはかなり明快だ。学生運動が敗北に終わって1年と少しが経過した1970〜71年。「饒舌は敗北に終わった!」と宣言しているのだと思う。

1971 年は時代の転換点なんだと思う。ぐるっと方向転換して反対側に向き終わったところ。マクドナルド銀座店ができた年。カップヌードルが発売された年。「二十歳の原点」が発売された年。反戦運動は実を結ばず、 万博は「大成功」で幕をとじた。そういう、60年代後半を「清算」して「アメリカンなもの」「軽薄なもの」に大きくシフトしていくような雰囲気なんだと思う。
この映画は、そういう時代についていかずに孤独に苦悩する若者を表しているのだと思った。

映画『原子力戦争』

 
音楽と関係ある度:★★★☆☆


映画『原子力戦争』(1978年、黒木和雄監督)を観た。
とてもよかった。★★★★☆

12月にDVDで発売される模様。
ブックレットも充実していて大変良い。最近は、CDでもDVDでも、内容のあるブックレット/ライナーノーツが欲しいんだよなあ。




このテーマだけに、ドキュメンタリではなくフィクションの劇映画(サスペンス)という方法では相当に「弱い」と思うけれども、その限りにおいては良く描けていたのではないだろうか。

原発問題にはまったく関心のないチンピラの主人公(職業ヒモ、原田芳雄)を中心にすえて、原発利権のえじきとなった港町でおきた殺人事件(事故隠蔽工作)を描く。
途中、ほんの一部「ドキュメンタリ」の手法が用いられている。福島第一原発にアポなし撮影するシーン。ただしあくまで「思いつき」的なオマケにとどまっているのが残念。

松村禎三による音楽はとても効果的だった。何と呼ぶのか知らないのだが、武満徹のような和楽器も使われている現代音楽みたいなやつで、原発というものの薄気味悪さ/邪悪さをよく演出したと思う。

劇中「チャイナ・アクシデント」という言葉もでてくる。米映画『チャイナ・シンドローム』はこれより遅れること1年の1979年3月公開。スリーマイル島事故も同月。



本編の結末はいただけないと思ったがどうだろう。これだと、未亡人(山口小夜子)が黒幕みたいやん。または未亡人と大学教授が不倫していて、そのために夫殺しを犯したみたいやんか、、、。それやったら原発問題ではなくなるやん。あ、ちゃうか、殺すために結婚させたんか、、、。そういうことかな?
どっちにしても御用学者っちゅうのは、罪は思いにせよ、利用されてる側だと思うがなあ、、。いや、それこそ、糾弾されるべきところか。



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