音楽と関係ある度:★★☆☆☆の最近のブログ記事

父が遺したメモから。

 
 僕の父が、今年一月に亡くなりました。約二年間のガンとの闘病のすえ、あと一ヶ月すれば七十二歳の誕生日というところでした。
 とくに病気が発見されてから、昔の思い出のようなものをメモに書くようにお願いをしていました。生来、何かを書き記したり、記録・保管したりすることは好きなほうでしたので、それほどの分量ではありませんが、いくつか、書いてくれました。
 そのうちの一つを紹介します。この一編だけは個人的な内容ではなく、とても一般的な内容です。ここに掲載することも意味があるかもしれません。とくに一番最後の段落は、これからの日本を生きる人達へのメッセージとなっています。

*     *     *

 私の生まれたのは昭和21年2月。終戦から約半年のち。
 終戦後は人々の緊張も解けた一方、社会は混乱・混沌とした最悪の状況だった時代。それからの戦後の日本の歩みを生きてきたことになる。
 昭和25年、朝鮮戦争が勃発し、日本は特需景気でよみがえったといわれる。
 昭和34年、皇太子(現天皇)の御成婚(結婚式)で、白黒テレビが急速に各家庭に普及した。我が家も同様。
 昭和36年(高校入学の年)、池田勇人内閣が所得倍増計画を発表。
 昭和39年(大学入学の年)、東京オリンピック開催(10月10日)、新幹線開通(10月1日)、名神高速道路開通で世界にも戦後復興を宣言した。
 昭和43年(大学卒業の頃)に不景気(景気減退)にみまわれ、昭和45年(大学院終了の年)、大阪万博(日本万国博)がひらかれて「進歩と調和」がテーマとされた。背景には急速な経済発展による公害などの社会問題(国際的にはベトナム戦争、東西対立等)が無視できなくなってきたことがある。
 その後オイルショック、第二次オイルショックを経験し、低成長(安定成長)時代が続いている。

 当然、我が家の暮らしも大きく変わってしまった。小学校のとき母に言われたのは、
 「我が家は貧乏やから」
 「(ものがほしいと)上をみたらキリがない。我慢しなさい」
だったように思う。
 小学校の給食は脱脂粉乳(だっしふんにゅう:米軍からの援助品)のミルクだったが、こどもの栄養問題から我が家でも牛乳をとることになった。毎日一本届けてもらい、こども三人で三分の一ずつ分けて飲んだ。当時は卵も貴重品で、卵焼きはごちそうだった。ご飯は麦飯で(割合は不明)、中学に入って給食がなくなり弁当をもっていくようになった時も麦飯だった。これが恥ずかしかった。ということは、他の人は麦飯でない人が多かったのだろう。麦飯は栄養を考えてのことではなく、やはり「節約」という母の強い考えだった。ぜいたくは禁物だ。
 小学校の社会科で教えられた重要なことでいつまでも心に残っているのは、《日本は資源のない国。だから原材料を輸入し加工して(付加価値をつけて)輸出してお金をかせぐという加工貿易の国である》ということ。これは基本的には今も変わっていない。同じことを今は「日本は技術立国」と言い換えている。これは日本の技術が優れていると自慢しているのだと受け取られる風があるが、真の意味は、「(加工の、付加価値をつける)技術がなければ日本は生きていけない」という意味なのだ。ところが、技術は日本人だけにあるものではなく、だれでも修得できる。後進国と言われる国も同じ立場で技術修得に必死になっている。日本は今後はどういう方向で日本の基盤を成り立たせるのか求められている。日本の今の繁栄の根拠が序々に薄れていっているのだ。
(中田智 2016年11月28日記す)
 


米仏英軍がシリアへの空爆を開始

 
シリアへの空爆が開始されたと報じられました。
僕はこのように考えています。

①アサド政権は、自国民に対する恐ろしい虐殺を行っている。
②アメリカ・フランス・イギリスのシリア攻撃は、侵略行為である。
③トランプ大統領の支持率をあげるために空爆している。
④アサド政権が倒れたとしても、イラクのように長期化するのではないか。

いま、上記をふまえて、いち庶民である僕の本分とは何でしょうか?
それは、
 アサドやロシアの恐ろしい虐殺に反対すること。
 米仏英による攻撃にも反対すること。
 日本政府に対しては、両方どちらも支持しないように訴えること。
 もちろん、自衛隊の海外派遣には断固として反対しなくてはならない。

これが、平和を望むいち庶民としての僕の本分であると思う。
「アメリカかロシアか」ではなく、「戦争か平和か」「武力行使か政治的解決か」ということ。
シリアの状況は凄惨を極めると聞きます。
それでもなお、戦闘に賛成してはいけない。

オトリとしての「憲法改正草案」

 
自民党による「憲法改正草案」というものが2012年に発表されました。
いまから六年前になります。

これを読んだときには、あまりの無茶苦茶ぶりに驚愕したものです。
僕なんかのような、憲法に詳しくない人、法に詳しくない人、誰が読んだって、オカシイことだらけのシロモノでした。

僕たち一人ひとりのことを大事にせず、国全体のことを大事にする。
自由や人権を、可能なかぎり制限する。
家族のありかたを規定する。(これは危険な考え方。なぜかというと、国が真剣にとりくまなければならない福祉や教育などを、なんでも家族のありかたのせいにして誤摩化すことが可能になるから。国家主義的なイデオロギーを植えこみやすくなるから。家族のありかたは、国が云々することではない。)

こんなバカバカしい、しかも日本語もあやふやな「憲法草案」を発表する自民党とは如何なる人達だろう?ーーーと不思議でなりませんでした。

それで、多くの人が怒りましたし、たくさんの本もでました。
僕も、そんなことをブログで書いたりしました。
野党議員もこれについて厳しく安倍首相たちを問いただしたのですが、のらりくらりとかわされました。

それから六年が経ちました。
・・・今となっては、これは全く、実は僕たちが間違っていたことが明白になったのではないかと考えているのです。
僕たちは、騙されていたのだ。

この憲法改正草案は、2012年、つまり民主党が第一党となって自民党が下野していたときに作られたもので、なんの責任も伴わない、これは「おとり」「サンドバッグ」だったのだと思う。
元々こんな草案を押し通す気など無かったのだ。
臆面なく、極端な国粋主義を打ち出したオトリを掲げることによって、むしろ自民党の求心力は増大したのだった。
リベラルはどうせ自民党を応援しないのだから、むしろ振り子を振り切ったほうが都合が良かったのだ。

自民党は返り咲き、特定秘密保護法、武器輸出解禁、安保関連法、共謀罪、カジノ法、民主党の瓦解など、いろんなことがありました。
僕には、かつてないほどの猛スピードで日本が悪い方向に向かっているようにしか見えません。
それを象徴しているのは、本屋に並ぶ、隣国のことをこれでもかというほど悪く書いた本。
「日本はスゴい!」などというテレビ番組も増えた。いまは日本の歴史上、もっともスゴくない時期なのに!

そうして、今週、自民党執行部のとりまとめで憲法改正案が決着したと報道されました。

憲法九条の二項維持がどうのこうの、自衛隊の明文化がどうのこうの、と言っています。
しかしその内容は、もはやどうでも良いのです。
(もちろん、自衛隊の明記なんてぜったいにアカンに決まっているのですが。)
何故なら、これは「お試し改憲」と言われているやつであって、「とりあえず一度でも改憲をすること」自体が彼らの目的だからです。
本当になんのこっちゃ分かりませんが、とにかく明治時代への郷愁というおかしな情念を持っている人達が存在していて、憲法の破壊を目論んでいます。その人達もアホではないので、十年や二〇年をかけて日本国憲法をぶっ壊そうとしていて、とりあえずの第一段階というわけです。
2012年の憲法改正草案は、実際の憲法改正の発議が「よりマシ」に見えるようにするためのオトリだったのだ。


いま、森友疑惑で国会が紛糾している安倍政権はもはや盤石でないかもしれません。それは良いニュースです。
でも、安倍首相などというものこそオトリに過ぎないのではないか。
安倍晋三なるものと2012年の憲法改正草案、この二つはどこか似ていないでしょうか。僕は似ているような気がしてなりません。


安倍政権が退陣しても、憲法改悪の流れはどんどん続くと思います。
憲法改正の発議は来るんじゃないかと思っています。
必死で、日本が崩れていくのを食い止めなければいけないと思います。

〈オーサカモノレール〉というヘンな名前のバンドを25年もやっている僕は、何を隠そう、大阪出身です。住んだことのあるのは、吹田市、枚方市、豊中市、池田市などです。

この記事では「大阪1区」について、書いてみたいと思います。
大阪1区とは、大阪市中央区、西区、港区、天王寺区、浪速区、東成区です。
僕が生まれたのは天満の追手門病院なのだそうです。
それから、やっぱり、バンドマンなので、ミナミで演奏することは多かったですから
、人並みにいろいろと思い出があります。
大阪城のあたりで働いていたこともありました。

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下記の五人が立候補しています。

  井上英孝(いのうえひでたか)維新の会、現職
  大西宏之(おおにしひろゆき)自民党、現職(比例)
  小泉修平(こいずみしゅうへい)諸派、新人
  村上賀厚(むらかみのりあつ)立憲民主党、新人
  柴山昇(しばやまのぼる)共産党、新人

このなかから一人だけ当選します。
井上英孝(維新)と大西宏之(自民)がせっているといわれています。


自民党は来年に改憲をやろうとしています。信じがたいことですが本当です。
それに、消費税を10%にあげようとしています。僕たちの生活にこんな大打撃まちがいなしのことがあるでしょうか。
(もちろん、消費税をあげても財政健全化も福祉再建もできないと思う。)
当然、維新も賛成するでしょうから、自民が当選しても維新が当選しても同じことです。

現職、維新の井上英孝が有力と目されています。
「変える!変える!」「改革!改革!」と言っているのが一番信用できません。
庶民の「なんとかして欲しい」っていう気持ちにつけこむ、一番悪い奴らだと思います。
変える気なんて無いくせに、学校の先生とか市役所の職員とかいった叩きやすいところばかり叩いて、なんかやってる雰囲気をだすのが大好きです。

維新だらけになってしまった大阪・・・いつになったら立ち直れるのだろう、と思っています。

さて、そんなことより、立憲民主党と共産党の候補が一本化されていません。
村上氏(立憲民主党)の理念やブログを、すこしばかりホームページで読みました。立憲主義や格差解消を訴えてはいるものの、その行間から「付け焼き刃のリベラリズム」を感じます。もうすこし修行してください。新自由主義的な経済政策だけを本懐とする人物と思われますがいかがでしょう。
一方、柴山氏のホームページは、案の定、見つかりませんでした。はっきり言いまして、柴山氏個人の経歴は、有権者の判断にあまり関係ないと考えます。これこそ、共産党の良いところでもあり悪いところでもあると思うのですが。

柴山氏に投票した場合(村上氏でも)、その一票はほぼ確実に死票となります。しかし、「共産党の当選を望んでいる層が、実際に何人くらい居る」という数字を残すこと(そしてそれを増やしていくこと)は、後々のために、とても大事なことです。

「投票に行ってもどうせ当選しないから投票所に行かない」というのはアカンと思います。
もし全員がそれをやったら、しまいには自民党や公明党以外の党は無くなってしまうからです。

それから、投票用紙はもう一枚あります。比例区の政党選びのほうです。
立憲民主党と共産党と社民党、この三つとも僕は良いと思います。

初の「政権交代も可能なリベラル政党」の実現へ向けて立憲民主党を応援したい。
同時に、共産党は、大阪でも野党共闘をすすめ、候補擁立を見送ることによって大きく立憲民主党の躍進に貢献すると見られています。比例で共産党に伸びてもらわないといけません。

もし仮に、僕が大阪1区の住民であったなら、
選挙区は 柴山昇
比例区は 日本共産党
へ投票することにします。

大阪1区のみなさん、おせっかいですみません。なにか間違いがあればご指摘ください。


Photo by Y.Y.


僕は生まれは大阪ですが、「出身は奈良です」と自らは言うことも多いです。
小学三年生から19歳くらいまで、奈良県生駒郡平群町というところで育ちました。
単線の近鉄電車が、二両編成で田んぼの中をトコトコ走っているところです。
(たしか、のちに四両編成になりましたが。)

僕の心のふるさと平群町をはじめ、生駒郡や大和郡山市あたりは「奈良2区」です。

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下記の三人が立候補しています。

 松本昌之(まつもとまさゆき)希望の党、新人
 霜鳥純一(しもとりじゅんいち)共産党、新人
 高市早苗(たかいちさなえ)自民党、当選七回、前総務大臣

このなかから一人だけ当選します。
やはり、高市早苗が当選すると目されています。


与党は来年に改憲をやろうとしています。信じがたいことですが本当です。
それに、消費税を10%にあげようとしています。僕たちの生活にこんな大打撃まちがいなしのことがあるでしょうか。
(もちろん、消費税をあげても財政健全化も福祉再建もできないと思う。)

武器輸出、安保法制、特定秘密保護法、共謀罪・・・この無茶苦茶な安倍政権を終わらせるためにはどうしたら良いでしょうか。
希望の党はこの悪政を終わらせることはできないと考えています。
もっと悪くなると思います。
共産党の霜鳥純一さんに投票することにします。
その一票は死票となる可能性が高い。しかし、「共産党や立憲民主党の当選を望んでいる層が、実際に何人くらい居る」という数字を残すこと(そしてそれを増やしていくこと)は、後々のために、とても大事だと思います。

「投票に行ってもどうせ当選しないから投票所に行かない」というのはアカン。
もし全員がそれをやったら、しまいには自民党や公明党以外の党は無くなってしまうからです。

それから、投票用紙はもう一枚あります。比例区の政党選びのほうです。
奈良二区は〈近畿ブロック〉になります。
立憲民主党と共産党と社民党、この三つとも僕は良いと思います。

初の「政権交代も可能なリベラル政党」の実現へ向けて立憲民主党を応援したい。
同時に、共産党は、野党共闘をすすめ、候補擁立を見送ることによって大きく立憲民主党の躍進に貢献すると見られています。比例で共産党に伸びてもらわないといけません。

もし僕が奈良二区の住民であったなら、
選挙区は 霜鳥純一
比例区は 日本共産党
へ投票することにします。


Photo by Y.Y.


恒例の「どこに投票するか?」です。


僕は、この12年ほど、横浜市青葉区に住んでいます。
横浜市緑区・青葉区あたりは「神奈川8区」です。

与党は来年に改憲をやろうとしています・・・。信じがたいことですが本当です。
また、消費税を10%にあげようとしています。僕たちの生活にこんな大打撃があるでしょうか。
あまりにも重要な選挙です。今週末に迫りました。
どこに投票すればよいでしょうか。

衆議院選挙は小選挙区比例代表制とよばれる制度でおこなわれます。
つまり、僕たち有権者は、二枚の紙を渡されて、候補者を一人と、政党を一つ、選びます。

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下記の四人が立候補しています。

 加藤リカ(かとうりか)共産
 大西常樹(おおにしつねき)諸派、会社役員
 江田憲司(えだけんじ)無所属、現衆議員
 三谷英弘(みたにひでひろ)自民、元衆議員

このなかから一人だけ当選します。
地盤が堅い江田憲司が当選すると目されています。

もし、あの民進党の解党劇がなければ、民進(江田) vs 自民党という構図になっていたでしょうから、江田氏を応援する心づもりをしていました。
しかし、実際には民進党は無くなってしまい、江田氏は選挙後にどうするのかサッパリわかりません。希望の党に合流するかどうか悩んでいたくらいなのですから。
僕の本分とは、反対票を入れることだと思います。

中学校給食など子育て政策に力をいれてきた人物である、共産党の加藤リカさんに投票することにします。
僕の一票は死票となる可能性が高い。でも、「共産党や立憲民主党の当選を望んでいる層が、実際に何人くらい居る」という数字を残すこと(そしてそれを増やしていくこと)は、後々のために、とても大事だと思います。

「投票に行ってもどうせ当選しないから投票所に行かない」というのはアカン。
もし全員がそれをやったら、しまいには自民党や公明党以外の党は無くなってしまうからです。

次に、比例区の政党選びのほうです。
神奈川8区は〈南関東ブロック〉になります。
立憲民主党と共産党と社民党、この三つのどれかがよいと思います。
まだまだ先は見えませんが、初の「政権交代も可能なリベラル政党」の実現へ向けて立憲民主党を応援したい。

選挙区は 加藤リカ
比例区は 立憲民主党
へ投票することにします。

 今日は、本当に分かり切ったようなことを、わざわざ理屈をこねて書いてみようと思います。
 理論をまず説明して、つぎに練習問題を解きます。それから応用問題をやって、最後に、実際の僕たちの生活にどのように使うかを説明したいと思います。
 
 〈囚人のジレンマ〉という、とても興味深い「例え話」があります。色々な方面でよく引き合いにだされるのでご存知の方も多いと思います。

囚人のジレンマ
 いまここに、ある事件における二人の容疑者が警察の取り調べをうけています。この二人は共犯であり実際にこの事件の犯人です。二人は、べつべつの部屋にいて、連絡をとりあうことはできません。あなたはこの容疑者のうちの一人です。つまり、「どうにかして刑を軽くしてもらいたい。できることなら釈放されたい」ということです。
 二人とも黙秘をつづけています。そこへ、取り調べ官が条件を持ちかけます。
 「別室にいる相棒は黙秘をつづけている。このままお前だけ自白してくれたなら、お前だけ釈放してやろう」
 「逆に、相棒が自白して、お前はこのまま黙秘をつづけるなら、相棒は釈放となり、お前は監獄おくりとなる」
 当然ながら、別の部屋にいる相棒にも同じ条件がだされていることでしょう。あなたは次のように考えます。
 (このまま自分が黙秘をつづければ、自分だけ監獄送りになってしまうのは時間の問題だ。)
 (もし自白すれば、わずかではあるが釈放される可能性が開かれる。)
 (よりマシなのは、自白するほうの選択肢である。)
 そういうわけで、あなたは自白します。ところが、あなたの相棒もまったく同じ条件ですので、同様に自白します。かくして、二人そろってあっけなく刑務所に送られてしまいました。

 はて、よく考えて行動したはずなのに、二人にとって最悪の結果を生んでしまいました。さて一体、あなたはどこで間違ってしまったのでしょう・・・?

 これが〈囚人のジレンマ〉と呼ばれる問題です。(本当は、数式が登場してマトリクスを書いて考えるのですが、エッセンスとしては上記の説明で十分です。)

 さて、その答えを書くまえに、これとまったく同じような、現実に発生した「練習問題」にいきます。
 2015年のことです。大規模な反対運動の起こった「安保法案」が国会に提出され、衆議院・参議院を通過したうえに成立しました。
 その際、「日本を元気にする会」という政党(当時代表=松田公太参議)がありまして(いまでもありますが)、安保法案についていくらかは反対寄りの姿勢をもっていました。しかし、切り崩し工作があったとみられて彼らは交換条件付きの賛成に転じました。「付帯決議」(この際、内容はともかく)というものを条件に、安保法制に賛成の側になったわけです。
 松田氏はおよそ下記のような意味の釈明をしました。
 《いまさら、いくら反対を叫んだところで、もはや法案の可決は避けられない。私たちは、無駄な抵抗はやめて賛成票に転じる交換条件として〈付帯決議〉というものを与党に承諾させた。効力はすくないとはいえ、安保法制にいくらかの縛りを与えたことは、よりマシな成果である。私のこの決断が正しかったことは歴史が証明するだろう》
 この判断は一見、合理的にも思われるかもしれません。「よりマシ」な結果をうんでいるからです。
 彼の選択は正しかったのでしょうか? 間違っているとするならば、一体どこが間違っているのでしょうか?

 僕なりの答えを書きます。
 〈囚人のジレンマ〉の設問において、この「囚人」がとるべきだった行動とは「誰が何を言おうとも黙秘を続ける」です。それが出来ていれば二人とも自由の身となれたのです。つまり、実は問いは「オプションAをとるべきか、オプションBをとるべきか」ではないのです。「Aをとればこうなる、Bをとればこうなる、どちらが得だろうか」と考えるところに間違いがありました。つまり、「自分は何者であるのかを考え、出来る出来ないに関わらず、何を為さねばならないのか」を考えて行動すれば良い・・・これが「解答」です。
 別の言い方で説明すると、「長期的かつ包括的に考えなければならない」ということです。「長期的」というのは、つまり目の前の選択肢とその結果だけで意思決定してはならない、ということです。「包括的」というのは、自分一人の行動とその結果だけで意思決定してはならない、という意味です。

 「日本を元気にする会」の問題については、もちろん「安保法制に反対しつづけるべきだった」が僕の意見です。なぜなら、「このまま反対しても、どうせ可決するのだから意味がない」という考えが「正しい」のであれば、ほかのすべての野党も交換条件付きで賛成票に回ることが「正しい」ということになります。そんなことになれば、その次の選挙で、有権者は一体どの政党に投票したらよいのか分からなくなってしまうでしょう。そうすると、いままでの支持者も失うことになり、その政党は崩壊への道をすすむでしょう。これは「正しくない」。
 まあ、よーするに、《目のまえの損得に惑わされてはダメ》《自分だけではなく全体で動くことを考えろ》って、なんだか、当たり前なことを書いているだけなんですけれども。

 さて、ようやく本題です。上記をふまえて、応用問題と実践問題の二つにまいります。
 前原誠司と小池百合子による暗躍があり、二〇年つづいた日本の最大野党・民進党(民主党)が一夜にして瓦解しました。こんな馬鹿な話があるでしょうか。はたから見ていると信じられないことでした。なぜこんなことが起こったのでしょうか。
 「ひとまずは、安倍政権を終わらせるためには必要な選択であった」と本人は主張します。はたしてこれは正しいのでしょうか? もちろん正しくありません。どこが間違っているのか? 「選択肢」で考えているからです。「こっちにつくか、あっちにつくか、どちらが議席数が多くなるか?」 当面のこと(議席数)のことしか考えていません。政治理念や有権者との信頼関係が、意思決定のプロセスに抜け落ちているのです。
 いま日本が抱えている問題はこれだけではありません。僕たち有権者も同じ問題をかかえています。あれから二週間を経たいまでも、「安倍政権を終わらせるために希望の党に投票しよう」とか、「リベラルの受け皿(立憲民主党)が誕生したのであるから、あの解党劇は喜ぶべきであった」という声もあるようです。最大野党が崩れて一番喜んでいるのは他ならぬ自民党なのに!

 長たらしいことを書きましたが、こういった僕たちの目の前にたちふさがる迷路から抜け出す方法は、まるで簡単で分かりきったようなことです。それは、僕たち庶民の一人一人が「市民としてとるべき行動をとればいい」ということです。
 具体的には、政治を椅子取りゲームのように弄ぶ者ではなく、平和や人権というものを大切に考えている政党・政治家に投票するということです。「しっかりやればやるほど得票数が増えるのだ」と野党に思ってもらわないことには何も起こらないと思うのです。
 残念ながら、「とるべき行動をとる」をやったところで、いますぐ平和や理想の社会は実現しないでしょう。自分が生きているあいだ、でさえも難しいかもしれません。でも、「とるべき行動をとる」は、当面の選挙だけでなく次の選挙、次の次の選挙に力強くつながっていくはずなのです。

 僕のブログはいつも結論は同じなんですけど・・・「よりマシな政党を応援するしかない。」ということです。この選挙では、立憲民主党、共産党、社民党を応援することが、僕たちの暮らしをよくする選択であり戦争回避の道です。分かりきったことです。
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