2020年10月アーカイブ

Nへの手紙(ホグワーツに入学する方法)

 
これは数年前、11歳の誕生日を迎えるNに書いた手紙です。
便せんにして十枚弱のものでした。
手紙そのものは、本人に渡してしまったのですが、下書きを残していました。
11歳の誕生日とは、「ホグワーツ魔法学校」から入学通知が届けられるはずの日です。
きっと、きっと、ホグワーツ魔法学校から手紙が届く。
そう強く念じている女の子に宛てて書いたものです。


 Nちゃんへ

きょう、Nちゃんのはなしを聞いて、とても心をうごかされたので、手紙を書いています。
そういえば、最近、Nちゃんは、「大人たちが、〝夢〟という言葉を使いすぎている。嘘くさい」という意味のことを言っていましたね。
鋭(するど)いと思います。僕も、同じように感じています。
では、嘘くさくない、本当の「夢」とは何でしょうか。
どのようにすれば、夢に近づくことができるのでしょうか。

ところで、ドラえもんの歌で、このようなくだりがありましたね。

  大人になったら 忘れちゃうのかな?
  そんな時には 思い出してみよう

じつは、これは本当のことなのです。大人になると、子供のころの夢を忘れてしまうものなのです。
頭の中から消え去ってしまうと、もはやその夢にちかづくことはありません。
Nちゃんは、今の夢を大人になっても、頭のなかに残しておくことができますか。
僕は、それを頑張って欲しいと思います。
目標に近づく一番目の大事なことは、「忘れない」ということです。
Nちゃんは今はまだ子供ですが、もうすぐ大人になります。そのときまで、目標を忘れずにいることができたら、そのための計画をたてることができます。
そのときには、この手紙に書いてある方法を使ってください。

二つ目に大事なのは、「すこしずつ近づく」ということです。
朝、目を覚ますと、魔法使いになっていた、というふうに、突然に夢が叶うことは、残念ながらありません。それはディズニーランドのシンデレラの話しです。
しかし、少しずつ少しずつ、自分から目標に近づいてゆくことは必ず出来ます。
そして、その「少しずつ近づく」という途中の段階を楽しみながら、行ってほしいと思います。
それがどんなに荒唐無稽(こうとうむけい、絶対にあり得ないように思われて、滑ケイなこと)と思われようとも構いません。例えば、「タイムマシンを発明する」とか「ジェイムズブラウンになる」というような目標でもよいのです。少しずつ近づいてゆくことは、絶対にできます。

三つ目です。「困難は分割せよ」と云います。
一見すると不可能に思えることでも、バラバラに分解(分割)すると、ひとつひとつは易しいことになります。
たとえば、Nちゃんが運動会でやった太鼓の演目は、とても壮大で素晴らしいもので、僕の目からは複雑すぎてとても難しいものに見えました。Nちゃん達は、ひとつひとつの動きや、ひとりひとりの動きをゆっくり覚えていったので、最後には完成させることができたのでしょう。
どんなことでも、バラバラに分割にすることができれば、すべて可能なことばかりなのです。
三番目に大事なのは、〝困難は分割せよ〟です。

それでは、Nちゃんの今の夢は、どのように分割できるでしょうか。
これは、Nちゃんが一生をかけて考えてゆくことなので、簡単には言えませんが、まず、「ハリー・ポッター」というのは小説であり映画ですので、たくさんの小説を読んで分析をすることが良いと思います。また、たくさんの映画を観て分析することが良いと思います。とくに、魔法についての本や映画はたくさんあるので参考になるでしょう。〝分析〟というのは、「それがどのようにできているか」をよく調べることです。

僕は、Nちゃんがホグワーツに入学してみたいと言っている気持ちが痛いほどよくわかります。僕もママも、小学四年生だったことがあるからです。
Nちゃんが大人になったとき、Nちゃんは自分の望むぶんだけ、自分のやりたいようにすることができますから、楽しみにしていてください。
11歳の誕生日おめでとう。



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