うすい青色の原稿用紙

 家を整理していたら、僕が小学校五年生のころに書いた作文がでてきました。その作文は、題が「友達」というもので、仲のよかったある友人を失ったことが書いてあったのですが、でも、その内容はいま重要ではなくて、原稿用紙に目がいきました。なにか見覚えのある、すこし変わった原稿用紙です。
 B5サイズつまり標準より小さな原稿用紙で、20字10行で一枚が200字のもので、うすい青色でマスが印刷されている。左下にちいさく「国語作文教育研究所原稿用紙」と書かれています。
 記憶がよみがえってきました。通信教育で、作文をおくると助言や添削がかえってくるのです。
 いま、うまく言葉にできませんが、自分のなかの何かは、今でもずっと、すっかり忘れていたこの懐かしい青い線の原稿用紙と格闘しているような気さえします。

 おっかない添削だった記憶がある。たしか、励ましてくれるわけではなく、いつも手厳しい批評がつけられていたように思う。だから、あまり長く続かなかった。その向こうに何かがあるようだったが自分には乗り越えられない壁だった。
 この国語作文教育研究所というのは、宮川俊彦という人が提唱していた作文教育の一環だったことがわかった。もうお亡くなりになったようで、その「研究所」も無いのであろう。下記で、その一端を知ることができた。
 机をバンバン叩きながら、『泣いたあかおに』というあの有名な友情についての童話を例にして、国語教育(読書、読書感想文)とは一体どうあるべきか、ということが話されています。
 よい「再会」を果たした。インターネットの力である。なぜすぐにやめちゃったのかも理解できた気がした。僕が「原稿用紙」というものに独特の感情をいだく理由も思い出した。いま、上手に文章が書けるようになりたいし、本もたくさん読まなくてはいけない。添削してくれる先生はもう居ない。
 何より、インターネットの時代、スマホやらストリーミングの時代にあって、宮川先生はなおお怒りのことであろう。そんな時代だけれども、とくに子供たちには、たくさん良い本を読んで、文章を書く楽しみをあじわってほしいものです。

https://edupedia.jp/article/53233f88059b682d585b5cd0
(この記事は、親や子供のためのものではなく、学校の先生にレクチャーしているものです。)


2019年11月

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