来週12月19日開催、オーサカ=モノレール主催イベントのメインアクトは、なんと、あのFUNKレジェンド、サー・ジョー・クォーターマン再来日です!

それでは、せっかくなので、ここでサー・ジョー・クオーターマンのことを色々と紹介してみたいと思います。
ジョーさんと言えば、もちろんこの曲です。
"(I Got) So Much Trouble In My Mind" Sir Joe Quarterman & Free Soul
初めて聴いたときの衝撃は忘れられません。レアグルーヴ・クラシックとして、Bobby Byrd "I Know You Got Soul" とタメをはるかんじです。1991年くらいだったかレコード屋で初めて聴きました。
アメリカで小ヒットを果たした1973年から四半世紀も経った1980年代終わりごろ、「レアグルーヴ」として、突然イギリス・ロンドンのクラブシーンやラジオで人気がでて大カムバックを果たしたんですね。(僕はそのころ田んぼだらけの奈良県で高校生やってましたんで、そんな現場は知るはずないですが。)
ちなみに、サージョーさん本人が、イギリスや日本でのリバイバルがあることを知ったのは1990年代後半になってからだったそうです。
録音されたのは1972年の暮れのようです。時代は「ファンク(的なもの)」がもはやメインストリームになっていた頃と思います。スティーヴィーワンダーは「Talking Book」。JBは「There It Is」とか「Get On The Good Foot」「Doing It To Death」など。「スーパーフライ」「110番街交差点」。そして大ヒット「裏切り者のテーマ」。
JBサウンドをひきあいに出すなら、リンコリンズの「Think」あたりの「アレンジがしっかり詰めてある完成度高い〝歌ものファンク〟」っていう雰囲気が共通の時代感を持っているように思いますがどうでしょうか。
加えて、いわゆる「ニューソウル」的な、ハーモニーがリッチで、歌詞にベトナム戦争のことがでてきたり、というあたりがこの曲の聴きどころでしょうか。
このポップ感とファンキー感のブレンドが、90年前後の僕たちにド真ん中に響いたんだと思います。

忘れがたい、ジャケットのイラストは本人によるもの。「こういうジャケットにして欲しい」とレコード会社にアイデアを伝えるために描いてみせたら、なんとそのまま使われてしまったというエピソードです。
タイトル曲の歌詞どおりに、サー・ジョーたちの頭の中にいろんな「トラブル」がある、というイラストです。(裏ジャケの写真も「夢見る地元バンド」感があってイイですね〜。)
h1-h4-2.jpgback.jpg
せっかくなんで、この「いろんなトラブルがあって頭がいっぱいだあ」という歌詞を書き出してみました。
* * *
I got so much trouble in my mind
I got so much trouble in my mind
Give me the strength to carry on
Give me the strength to carry on
Cause everything I got is just about gone
I think about it, I think about it, and I got to shout!
トラブルだらけで頭がいっぱいなんだ
トラブルだらけで頭がいっぱいなんだ
もう耐えられない 力をお与えください
もう耐えられない 力をお与えください
すべてがダメになりそう
心配だ 心配だ ああ心配だ 叫びたいよ
I got so much trouble in my mind
I got so much trouble in my mind
I got an eight hour job
I got an eight hour job
Everyday my work gets so hard
I worry about it, I worry about it, and I got to shout!
トラブルだらけで頭がいっぱいなんだ
トラブルだらけで頭がいっぱいなんだ
いまの仕事は一日八時間なんだ
いまの仕事は一日八時間なんだ
それが毎日どんどんキツくなっていく
気が滅入る 気が滅入る ああ気が滅入る 叫びたいよ
Look here, there is:
Air pollution, much confusion, drug addiction, no convictions,
vietnam war, junkies at your door
聞いてくれよ 問題だらけさ
大気汚染 社会混乱 麻薬中毒 社会不安
ベトナム戦争 ジャンキーの強盗
I got so much trouble in my mind
I got so much trouble in my mind
Marriage I thought I never bother
Marriage I thought I never bother
Now my girl tells me I am a father
I dream about it, I dream about it, and I got to shout!
トラブルだらけで頭がいっぱいなんだ
トラブルだらけで頭がいっぱいなんだ
結婚なんて一生ないと思ってた
結婚なんて一生ないと思ってた
なのにガールフレンドが「あなたの子供がお腹に」だって
楽しみだ 楽しみだ ああ本当に楽しみだ 叫びたいよ
* * *
なんだか、説得力のある不思議な歌です。
最後に、この曲は当時ヒットだったのか、そうでないのか?
後述しますけれど、シングルとしてはビルボードR&Bチャート30位を記録しています。 「スーパーヒット」とはいいがたいですが、FUNKの聖地の一つであるワシントンD.C.で、地元の人気バンドがここまで駆け上ったということで相当盛り上がっていたのでしょうね。そのヒットを受けてアルバムがつくられたんですね。
しかしアルバムのほうは(内容は傑作といえるものですが)セールスは芳しくなかったのです。
レコード会社であるGSFも宣伝費をかけてプロモーションする気はなかったのです。なにせジャケットデザインを、本人の落書きで済ましてしまう(本人の承諾もなく)くらいですからねえ。
そんなわけで、来週12/19のサー・ジョー・クオーターマン初来日をお楽しみに!
これから、合計4回ほど(?)にわたり、サー・ジョーのお話をしていきたいと思います。
(↓もしかして世界初公開かも、、、? これが、Sir Joe Quarterman & Free Soulのライブ写真だ! おーッ!)

今回は、皆さんご存知の基本情報でした。
次回からは、もうすこし突っ込んだストーリーを探ってみたいと思います。
サー・ジョーの地元であるワシントンD.C.のことや、アルバム全体のこと、サー・ジョーさんの物語(60年代、70年代後半や80年代)、などなど、盛りだくさんで「予習」をしてまいりたいと思います。
よろしくおねがいします。
(その2につづく)

それでは、せっかくなので、ここでサー・ジョー・クオーターマンのことを色々と紹介してみたいと思います。
ジョーさんと言えば、もちろんこの曲です。
"(I Got) So Much Trouble In My Mind" Sir Joe Quarterman & Free Soul
初めて聴いたときの衝撃は忘れられません。レアグルーヴ・クラシックとして、Bobby Byrd "I Know You Got Soul" とタメをはるかんじです。1991年くらいだったかレコード屋で初めて聴きました。
アメリカで小ヒットを果たした1973年から四半世紀も経った1980年代終わりごろ、「レアグルーヴ」として、突然イギリス・ロンドンのクラブシーンやラジオで人気がでて大カムバックを果たしたんですね。(僕はそのころ田んぼだらけの奈良県で高校生やってましたんで、そんな現場は知るはずないですが。)
ちなみに、サージョーさん本人が、イギリスや日本でのリバイバルがあることを知ったのは1990年代後半になってからだったそうです。
録音されたのは1972年の暮れのようです。時代は「ファンク(的なもの)」がもはやメインストリームになっていた頃と思います。スティーヴィーワンダーは「Talking Book」。JBは「There It Is」とか「Get On The Good Foot」「Doing It To Death」など。「スーパーフライ」「110番街交差点」。そして大ヒット「裏切り者のテーマ」。
JBサウンドをひきあいに出すなら、リンコリンズの「Think」あたりの「アレンジがしっかり詰めてある完成度高い〝歌ものファンク〟」っていう雰囲気が共通の時代感を持っているように思いますがどうでしょうか。
加えて、いわゆる「ニューソウル」的な、ハーモニーがリッチで、歌詞にベトナム戦争のことがでてきたり、というあたりがこの曲の聴きどころでしょうか。
このポップ感とファンキー感のブレンドが、90年前後の僕たちにド真ん中に響いたんだと思います。

忘れがたい、ジャケットのイラストは本人によるもの。「こういうジャケットにして欲しい」とレコード会社にアイデアを伝えるために描いてみせたら、なんとそのまま使われてしまったというエピソードです。
タイトル曲の歌詞どおりに、サー・ジョーたちの頭の中にいろんな「トラブル」がある、というイラストです。(裏ジャケの写真も「夢見る地元バンド」感があってイイですね〜。)
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せっかくなんで、この「いろんなトラブルがあって頭がいっぱいだあ」という歌詞を書き出してみました。
* * *
I got so much trouble in my mind
I got so much trouble in my mind
Give me the strength to carry on
Give me the strength to carry on
Cause everything I got is just about gone
I think about it, I think about it, and I got to shout!
トラブルだらけで頭がいっぱいなんだ
トラブルだらけで頭がいっぱいなんだ
もう耐えられない 力をお与えください
もう耐えられない 力をお与えください
すべてがダメになりそう
心配だ 心配だ ああ心配だ 叫びたいよ
I got so much trouble in my mind
I got so much trouble in my mind
I got an eight hour job
I got an eight hour job
Everyday my work gets so hard
I worry about it, I worry about it, and I got to shout!
トラブルだらけで頭がいっぱいなんだ
トラブルだらけで頭がいっぱいなんだ
いまの仕事は一日八時間なんだ
いまの仕事は一日八時間なんだ
それが毎日どんどんキツくなっていく
気が滅入る 気が滅入る ああ気が滅入る 叫びたいよ
Look here, there is:
Air pollution, much confusion, drug addiction, no convictions,
vietnam war, junkies at your door
聞いてくれよ 問題だらけさ
大気汚染 社会混乱 麻薬中毒 社会不安
ベトナム戦争 ジャンキーの強盗
I got so much trouble in my mind
I got so much trouble in my mind
Marriage I thought I never bother
Marriage I thought I never bother
Now my girl tells me I am a father
I dream about it, I dream about it, and I got to shout!
トラブルだらけで頭がいっぱいなんだ
トラブルだらけで頭がいっぱいなんだ
結婚なんて一生ないと思ってた
結婚なんて一生ないと思ってた
なのにガールフレンドが「あなたの子供がお腹に」だって
楽しみだ 楽しみだ ああ本当に楽しみだ 叫びたいよ
* * *
なんだか、説得力のある不思議な歌です。
最後に、この曲は当時ヒットだったのか、そうでないのか?
後述しますけれど、シングルとしてはビルボードR&Bチャート30位を記録しています。 「スーパーヒット」とはいいがたいですが、FUNKの聖地の一つであるワシントンD.C.で、地元の人気バンドがここまで駆け上ったということで相当盛り上がっていたのでしょうね。そのヒットを受けてアルバムがつくられたんですね。
しかしアルバムのほうは(内容は傑作といえるものですが)セールスは芳しくなかったのです。
レコード会社であるGSFも宣伝費をかけてプロモーションする気はなかったのです。なにせジャケットデザインを、本人の落書きで済ましてしまう(本人の承諾もなく)くらいですからねえ。
そんなわけで、来週12/19のサー・ジョー・クオーターマン初来日をお楽しみに!
これから、合計4回ほど(?)にわたり、サー・ジョーのお話をしていきたいと思います。
(↓もしかして世界初公開かも、、、? これが、Sir Joe Quarterman & Free Soulのライブ写真だ! おーッ!)

今回は、皆さんご存知の基本情報でした。
次回からは、もうすこし突っ込んだストーリーを探ってみたいと思います。
サー・ジョーの地元であるワシントンD.C.のことや、アルバム全体のこと、サー・ジョーさんの物語(60年代、70年代後半や80年代)、などなど、盛りだくさんで「予習」をしてまいりたいと思います。
よろしくおねがいします。
(その2につづく)