今月10日の参院選で、憲法改正の発議に必要な三分の二議席は、おさえられてしまいました。
野党共闘で、共産党や民進党は、かつて無いほどの踏ん張りを見せたと思いますが、それでも、三分の二を阻止することは適いませんでした。
安部首相の任期終了までに、かならず憲法改正を仕掛けてくると言われています。
戦後何十年もの間、憲法を変えようと目論んでいた右翼の人達が、この千載一隅のチャンスを逃さないはずは無いと思います。
僕たちの想像もつかないほど用意周到に、テレビや雑誌を使ってうまく世論を操作して、憲法改正まで持って行くと思います。
今年、平和運動を盛り上げないと、本当に恐ろしいことになると危機感を持っています。
そして、とくに、音楽家の方面からもそれを盛り上げていかないといけないと思います。
「日本が戦争するなんて有り得ないよ」「徴兵制が導入されるはずがない」と思っている人が、まだまだ多いようです。そんな認識では、本当に甘いと思います。
日本の主要都市が焼け野原となって、1945年に終戦を迎えるまで、15年間戦争をしていました。
そのうち、国民が「戦争をしているという実感」をもっていたのは、最後の数年間だけだったと言われています。
中国で何が起こっているかを知らず、実感のないままに、約10年をやり過ごしていたのです。
二二六事件が起こっても、盧溝橋事件が起こっても、「自分の生活とは関係ない」と思っていたのです。
よく言われることですが、ようやく1940年代になって、大学を卒業した人にまで赤紙が来るようになってから、「おかしい、どうやら日本は危機的な戦争をやっているのかも?」と感じ始めたと伝え聞きます。
日米開戦して、B29が日本の上空を飛ぶようになって、ようやく目が覚めた、とも言われています。
ところで、僕は、2001年「911」に端を発した「対テロ戦争」のとき、僕は29歳でした。
ライブやインタビューで、「日本はいま、戦争をやっている。後方支援だから現実味が感じられないけれど、戦争をやっている。それを認識しないといけない!」ということを、できるだけ発言するように心がけていました。時の総理・小泉純一郎は、この戦争を熱烈に支持しましたが、それでも内閣支持率は驚異の70%を誇っていました。
しかし、一年ほどして、そういったことを発言することは止めてしまいました。ブログで書く程度にしました。それ以外では、ほとんど発言しないよう決めました。
なぜなら、「面白くない」からです。
ライブでそんな話をしても「面白い」はずはありません。
僕はパフォーマー、エンターテイナーです。戦争の話をしても、お客さんに楽しんでいただくためには、妨げにこそなれ、良いことはほとんどありません。(うまくユーモアや風刺をまじえれば良かったのかもしれませんが、そこまでのトンチや話芸は持ち合わせていない・・・。)
また、一人のミュージシャンがそんなことを言っても、それほどの専門知識があるわけでもなく、どこまでメッセージに信憑性や説得力を持ちうるのか分かりません。
「音楽と平和運動は結びつかないといけない」とアタマでは分かっていても、自分の実力が足らないため(いい曲が書けない、ライブでうまくしゃべることができない等)、どうしたら良いか分からず、約15年が経ちました。
その間、2011年3月の大震災・原発事故があり、脱原発や特定秘密保護法のデモなどもありました。
〈時代〉は完全に変わっていきました。
それでもなお、僕は、「僕に何ができるのだろう?」「音楽家は何をしたらいいか?」などと考え続けるだけで、何も出来ませんでした。
ブログを、ほんの少し書いたりしていただけでした。
そうして遂に、「武器輸出解禁」「集団的自衛権」「安保法制」がやってきます。
あらためて言う必要もありませんが、〈集団的自衛権〉とは、要するに「戦争を可能にする」ということです。
「ついにこの時代が来てしまった!」と、多くの人と同様、僕も思いました。
しかしながら、この時点でも、まだ「音楽家が何をしたらいいか?」「音楽家としての僕は何をしたらいいか?」は分かりません。
実は、今も分かりません。
「音楽家がスマートに平和運動に関わる方法」というのは、ずっと考えていることですが、答えはまだ出ていません。
現時点での、僕なりの最新解答を、引き続きブログなどで書こうと思います。また、当然ながら、実践もしていきます。
ざっくり言いますと、次の四つが一番効果的な方法だろうと思います。
みなさんの参考になりましたら幸いです。
①曲をつくる。(平和、反戦、人権、自由、などをテーマにしたカッコいい曲。)
②デモ・集会に行く。行くことを予告したり、行ったことを報告する。できれば、スピーチしたり歌ったりする。
③そういう主旨の音楽イベントに参加する。必要あれば主催したり呼びかけたりする。
④そういうコメントを発表する(短いメッセージで良いから立場を表明する。)
上記以外の方法、たとえばライブでそんなことをダラダラとしゃべるのは逆効果のように思われます。
ブログで持論を長々と展開するのも、僕はあまりオススメしません。(このブログは・・・アレ?)
実は、もっとも簡単で、かつ効果があると思われるのが、「④コメント発表」です。
僕はこれを「吉永小百合システム」と(勝手に)呼ぶことにしています。どうやら、吉永小百合さんクラスの有名人の多くがこの方法を採用しています。短いコメントを出すだけ。この方法だと不思議とカドが立たずに、しかも効果のある平和運動が可能なようです。
集会などに出て行くのがためらわれる場合でも、これなら簡単です。
僕たちミュージシャン/アーティストは、その影響力や技術を活かして、〈反戦という時代の空気づくり〉に貢献できるはずです。
それが僕たちにできる貢献の、可能性の最大の部分だろうと考えています。
売れっ子でも、そうでなくても。
メジャーアーティストでも、インディーアーティストでも。
どんなジャンルの音楽家でも。
どんなスタイルのアーティストでも。
舞台のセンターを張る人でも、裏方さんでも。
スカっとさわやかなホームラン(といわずとも小ヒット)を打って、そういう〈時代づくり〉に貢献しよう。
アーティストごとに、自分の言葉で、いろんな方法で、〈平和〉〈憲法をまもる〉を訴えましょう。
わざわざ〈平和〉を盛り上げないといけない時代。
反戦、自由、人権を叫ばなければ、いままで当たり前だったものが崩れていく攻防戦です。
もうすぐ(本当にもうすぐ)、テレビで改憲の議論が始まります。
国民投票に向けて「あなたは改憲派?それとも反対派?」などという、軽々しい議論が行われるでしょう。
それよりも早く、音楽家や文化人から、護憲の運動が起こらないと手遅れになります。
最後になりましたが、上記のことは、実は、音楽家も一般市民も関係ありません。誰でも同じようなムーヴメントをおこすことが出来るし、リスナーと音楽家の関係についても、お互いに影響を与え合いながら進んでいかねばと思います。
(その③も、追って書く予定をしています。)