2012年10月アーカイブ

音楽と関係ある度:★★★★☆

 久しぶりに本屋っちゅうもんに行きました。どの本を買おうかなと思っていたらこんな本があってビックリ! 目を疑いましたが確かに「あべのぼる自伝」と書いてあります!

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1969年、新宿PIT INNからはじまった あべのぼる自伝

 平積みです。今週発売されたばかりです! 僕などが阿部さんのことを書く資格はありませんが、本の宣伝の意味と、自分の記憶の整理として書かせてください。阿部登さんとは、1970年代前半は山下洋輔トリオのマネージャーとして、そして70年代中期には大阪初のインディーズレーベル「オレンジレコード」をつくった、関西の音楽プロデューサ、名物マネージャーです。2000年代は大西ユカリさんのマネージャもされていました。

  僕は、雲の上の大先輩・阿部さんとは、ほんのすこしだけ、何度か、ご一緒させていただいたことがありました。10年ほどまえ、大阪の事務所で、何度か、時間をすこし割いて声をかけてくださったり、、、。それから「仕事」(と言うのもはばかられますが、要するに「ライブ」)というかたちでは、オーサカ=モノレールとしては二回ほど、ご一緒させていただきました。僕のやろうとしていた別のことに実際にお力添えくださったことも数回ありました。

  いまから思うと、97年ごろに僕をひっぱってくれた当時RDレコードのKさんという人が居まして、その人をY社から引き抜いてきたのがMさんという人で、Mさんは阿部さんの弟分だった人。(たぶんあってると思う、、、。)  その後、当時僕がお世話になっていた事務所に数日に一度ほどやってきては電話を何本もかけて、かなり 一方的にしゃべってから数時間して夕方になると、また出て行かれるのでした。すこし通る太い声、聴き取りにくい早口。なにをやっているオジさんなのだろう と思っていました。「たまにしか来ないあの阿部さんって、何をしている人?」と会社のK君に尋ねると「阿部さんは、ほら、なんていうのかな、うちの会社の、守護神みたいなものだから、ふふふ」と言いました。

  2001年だったと思いますが、阿部さんが仕事を紹介してくださいました。服屋さんが主催のパーティに出演するという話です。それでその当日、休憩時間にライブを観た阿部さんが言いました。「自分ら、あれやな、やっぱり、オレ等のころのヤツら、石やんとかキー坊とかに比べたらヘタやな、もうちょっと上手いか思てたわ」 一言一句は覚えてません。「石やん」でなく「ヤマギシ」やったかも知れませんし、「キー坊」でなくて他の誰かやったかも知れません。「ヘタやな」ではなく「パワー足らんな」やったような気もする。とにかく、そういうようなことをおっしゃいました。いつも笑っている阿部さんの顔が、普段よりすこし固い顔でした。そんなことを言われても、それほど腹もたたなかったし逆にそれほど落ち込む事もなかったのが不思議な感覚でした。

  薮から棒に言われたので、そのときは理解できませんでしたが、そのあとヒジョーに納得しました。それから、ずっとの間、阿部さんに認めてもらえるようなパフォーマンスができるようになりたいと強く思い続けてきました。10年以上経った今でもダメだと思いますが、いつかは少なくとも自分で納得したいものです。  ちなみに、この本のあとがきを担当されている人物からも似たようなことを何度も言われました。その時は、ほんの少し僅かだけ腹がたち、いまに見ていろコノヤローと思ったものでした。  そういうわけで、それくらいの思い出しか無いにせよ、こんな凄いオッチャン二人に叱られるとは、僕はパフォーマーとしてものすごくラッキーだったのだとつくづく思う次第です。

  とにかく本を読んでください。
音楽と関係ある度:★★☆☆☆

「NHKスペシャル 黒い雨 活かされなかった被爆者調査」を見た。広島の原爆投下直後に降った放射性物質を含む雨、いわゆる「黒い雨」にあった人は、1万3千人にのぼることを示す分布地図が2011年の暮れに公表された。どこでどれくらいの人が黒い雨にあったか、これまで公式データはないとされてきただけに、広島・長崎は衝撃を受けた。調査は、アメリカの研究機関ABCCが50年代に行い、その研究を引き継いだ「放射線影響研究所」が資料を保管していた。今に至るまで、このデータを使って黒い雨の影響について研究されることはなかったという。

 当時、さらなる調査の必要を主張した米技師もいた。しかし、黒い雨、そしてその他の残留放射能の影響については、資料の存在を明らかにすること、より詳細な調査をすること自体が、1950年代、原子力の〝平和利用〟を推しすすめたアメリカ国策に反すると見なされ、隠蔽工作や人事異動によって闇に葬り去られのだと番組は結論づけていた。

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僕はやはり、原子力研究は実用段階にないと思う。原子力を「研究」することは許されても良いかもしれない。限りなく〝神〟の逆鱗に触れる領域のように思われるけれど、科学することは本来「悪」ではないだろう。いずれにせよ、原子力を人類の英知でコントロールすることは今のところ不可能なのだと思う。昨年の地震による事故や、もんじゅの事故のことだけを言っているのではない。1950年代から今に至るまで、日常的に作業員が被曝をして健康を害し、少なくない人数が死に至ってきたと聞く。もうほとんど、人体を燃やして発電しているような話ではないか。それから、もうひとつの理由は、上記の番組のテーマのようなことだ。いまの電力会社や国家、それにぶら下がるテレビや新聞、そして大学の倫理状況は、原子力を扱う資格がない。このような状況で、原子力を「研究」することさえも、ましてや「発電」したり「爆発」させたりするとは、傲慢と呼ぶしかないと思う。
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