映画『あらかじめ失われた恋人たちよ』

音楽と関係ある度:★★★☆☆


映画『あらかじめ失われた恋人たちよ』(1971年ATG、田原総一朗監督)を観た。
とてもよかった。★★★★☆

12月にDVD発売。こないだのにもまして、ブックレットが充実していて大変良い。プレスリリースのレプリカ、16ページのブックレット。








田原総一朗の、最初にして最後の劇映画の監督作で、桃井かおりの初出演作品。

学生運動あがりの(と思われる)主人公(石橋蓮司)はかっぱらいや万引きをしながら旅をしている。町でであった若い聾唖者の男女(加納典明・桃井かおり)になぜか惹かれて行動をともにする。

監督が不慣れだったため現場は相当混乱し、桃井かおりもいろいろあったとのこと。
撮影中、毎晩、田原が石橋蓮司らに吊るしあげられていたらしい。現場で石橋が「実存だ!」「実存かけてんのか!」と連呼していたというエピソードが可笑しい。


主人公も最後には言葉を捨てる。主題/設定/ストーリーはかなり明快だ。学生運動が敗北に終わって1年と少しが経過した1970〜71年。「饒舌は敗北に終わった!」と宣言しているのだと思う。

1971 年は時代の転換点なんだと思う。ぐるっと方向転換して反対側に向き終わったところ。マクドナルド銀座店ができた年。カップヌードルが発売された年。「二十歳の原点」が発売された年。反戦運動は実を結ばず、 万博は「大成功」で幕をとじた。そういう、60年代後半を「清算」して「アメリカンなもの」「軽薄なもの」に大きくシフトしていくような雰囲気なんだと思う。
この映画は、そういう時代についていかずに孤独に苦悩する若者を表しているのだと思った。

2016年1月

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