2010年8月アーカイブ

ワッツタックスのDVD

 
音楽と関係ある度:★★★★☆


すこし久しぶりに映画『ワッツタックス』を観た。これに勝るものはないとつくづく思う。
しかし、この2003年版の日本向けDVDの字幕はいただけなかった。世紀の傑作なのに。

言うまでもなく、これはマイノリティによるマイノリティのための映画、それも一番ハードコアの映画だから、字幕制作がかなり「難しい」ことは当然で、苦労のあとは伺えるのですが、やはり難しいところがとばされていたり、誤訳だったりして苦言を呈したくなる。90年代に「黒人音楽専門レーベル」であるP-VINEからVHSが発売されていて、なかなかの翻訳がついていたのに、配給会社は何故そちらを買い取らなかったか。プライドかシガラミか、それとも知らなかったか。
それから、歌詞に翻訳がついていないことも本当に残念です。

たとえば、本編の一番最初のセリフ、リチャード・プライアーの言葉です。

 All of us have something to say, but some are never heard.
 (DVD字幕:誰にも言い分はある だが 聞かない奴も)

「聞かない奴も」というのがあまりに軽くて納得いかないなあ...。原文は「誰だって何かしら言いたいことがある。なのに、その声がまったく顧みられない人たちがいる」と言っています。このイベント(映画)にはそんな「世界に届くことのない声」が詰まっているのだ、とプライアーが宣言している重要なセリフ。
もっと突っ込んで、「俺たちの声は 世間に届かない」とか「黒人の言い分は 無視されてきた」などにしても良いくらいのところだと思う。ただし直接的すぎると説得力に欠けるかもしれないから、「俺たちの声は〝届かぬ声〟だ」などでも良かったかもしれない。

他のいくつかの映画もそうなのだけれど、特に『ワッツタックス』は一番大事な映画です。字幕翻訳はよいものを後世に残せれたらいいと思う。



HMV渋谷店、閉店

 
音楽と関係ある度:★★★★☆

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長いあいだお世話になったHMV渋谷店が惜しまれながら閉店と相なった。
かなり昔から2階がBlack & Danceになっていたのもよかった。それと、90年代も終わりごろ、DVDというメディアが登場してきたころ、5階(だったっけ?)がDVDをメインにしたフロアになっていて、「DVDなんて、ほんまに買う人いるんか〜?」とか思いながらも、当時ブラクスプロイテーションの普及活動に燃えていた僕は足しげく通ったのが思い出ぶかい。

閉店日の今日は、沖野修也さんプロデュースによる、さよならイベント。僕は、沖野さん、鈴木桃子さんとトークイベントに参加させていただいた。そのあと、マウンテン・モカ・キリマンジャロのライブに飛び入り。

沖野さんをはじめ出演者のみなさん、ありがとうございました!
そしてなにより、店スタッフの皆さん、ありがとうございました!

Funk in Newport Jazz Festival

 
音楽と関係ある度:★★★★★

ジェイムズ=ブラウンの1969年のライブが入手できるようになっている。S師匠に教えていただいた。これは凄い! 1969年7月6日、この年のニューポート・ジャズフェスティバルの4日目(日曜日)の演奏。映画『真夏の夜のジャズ』(1958年)、マイルス=デイビスのライブ盤、マヘリア=ジャクソンのライブ盤などで有名な、あのニューポート・ジャズ・フェスティバル。
じつは、この年のニューポートのブッキングは、〝ロック・アーティスト〟が多く出演して物議をかもしたことで有名。約半分は従来のジャズの顔ぶれだが、大トリのレッド=ツェッペリンを筆頭に、ジェフ=ベック・ブロッド=スウェット&ティアーズなど。R&B畑から、ジェイムズ=ブラウンのほかには、スライやB.B.キングも出演。
のちに〝ウッドストック時代〟と呼ばれる時期のまっただ中。当のウッドストックはまだ開催される直前。ワイト島(1968-1970)、モンタレー(1967)、マイアミ(1968)などがこれに先立つ。1969年と言えば、『Bitches Brew』の年ジャズ界でもマイルス=デイビスを筆頭に〝ロック化〟の波が押し寄せていたころ。
大反対を押し切って〝進歩的〟なブッキングを敢行したジョージ=ウェインに先見の明があったというべきなのか、むしろ逆で、大きなロックの波に流されただけと考えるのか。いずれにせよ、素晴らしい音源に出会えて本当に興奮する。

曲目は下記のとおり:
1. Soul Pride
2. The Popcorn
3. Instrumental
4. Say It Loud - I'm Black and I'm Proud
5. If I Ruled The World
6. Kansas City
7. Licking Stick
8. Try me
9. There Was a Time
10. Give It Up, Or Turnit A Loose
11. It's a Man's Man's Man's World
12. Please, Please, Please
13. I Can't Stand Myself (When You Touch Me)
14. Mother Popcorn
15. Encore: Mother Popcorn

メンバーは下記のとおりと思われる。
James Brown (vocal); Richard Griffith & Joe Dupars (trumpets); Fred Wesley (trombone and probably organ); Maceo Parker (tenor sax & MC); St. Clair Pickney (tenor & baritone saxes); Jimmy Nolen (guitar); Al Kellum (guitar & bass); Charles Sherrell (bass); Clyde Stubblefield, John "Jabo" Starks & Melvin Parker (drums & percussions) and probably Marva Whitney (background vocal on Please, Please, Please)


選挙が終わって

 
音楽と関係ある度:★☆☆☆☆

選挙からしばらく経ちました。みんなの大躍進、自民の健闘、民主の惨敗ということとなりました。
消費税は争点とはならず、僕が心配したようにはならなかったのでよかった(?)。

ところで最近、政治に興味がなくなってきた。こんな書き方をすると不謹慎なのだが、僕も熱望していた政界再編への興味が薄れてきた。ようするに、僕はいま、ぼんやりと「あきらめムード」になっている。これは危険だ。

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