基礎をかためる英語講義 第一回(全15回)

基礎をかためる英語講義 第一回(全15回)
2023年9月公開

それではイントロダクションでおつたえしたとおり、「英語の正体とは何か」というところに一気に切り込みます。
英語で、日本語でいうところの五十音表にあたるものはいったい何なのか、という話のつづきです。


英語はとてもシンプルです。
下記の仕組みが英語のもとになるもの、です。

子音+母音+子音 → 1音節
1音節 → 1つの意味
1音節 → 1単語

これが英語の黄金ルールです。
このルールが身に付けば、英語はものにしたも同然、です。

この法則にしたがって、語をどんどんならべてゆきます。
ちょうど、おなじ形のレンガをどんどん並べるだけで、どんなものでも作れてしまうような感覚です。

ちゃんとしたレンガがなければ、いくら頑張っても積み上がっていきません。
基礎ができていれば百戦あやうからず、です。
やさしくじっくり説明してゆきます。

「音節(おんせつ)」というのが堅苦しくていけませんが、これは英語で「syllable(シラブル)」とよばれるものです。
「音節」などと、格好をつけて言わなくても、1音(いちおん)、2音(におん)などと呼びかえてもかまいません。
中国語の漢字でいうと漢字1個ぶんに相当します。
韓国語でいうとハングル(文字)1つに相当します。

英語ではたとえば、
bag(かばん) car(車両) cat(ネコ)
dog(イヌ) pen(ペン) hat(ぼうし) 

などの名詞もそうですし、下記、動詞もそうです。

run(走る)、take(とる)、get(手に入れる)
make(つくる)、dance(おどる)、chat(おしゃべりする)

もちろん下記のように、形容詞もおなじです。

red(あかい)、hot(あつい)、hard(かたい)
tall(背がたかい)、short(みじかい)、long(ながい

英語がでてきたばあいは、かならず声をだしてください。
二度でも三度でも、声に出していってみることが何より大事です。
目で追っているだけはゼッタイ禁止です。
日本語は、書かれた言葉にも価値があるのですが、英語には書かれた文字にはあまり価値がないと言ってよいと思います。
考えてみればそりゃあそうです、たったの26文字しかないアルファベットで書かれているのですから。日本語とおおちがいです。

書かれた英語というものは、じつは「このように音を出してほしい」と訴えるためだけにあるわけです。
書かれた英語を声に出して読んでも、情報はいっさい抜け落ちません。
日本語の場合は、書かれたものを読み上げると、情報がずいぶん落ちてしまいます。

とにかく、英語は声にだしてください。

上にあげた単語は、ぜんぶ同じ調子で「子音+母音+子音」になっているでしょう?
そして、これでひとつの言葉(単語)をつくります。

日本語の場合は1音だけだと、意味をもちません。
「あ」とか「い」とか、「く」とか「せ」とかには意味がありません。
だいたい2音(ひらがな2文字)や3音(ひらがな3文字)ほどになって、意味がともなってきます。
「くも」「いぬ」「やま」「あし」「ほし」「そら」・・・
「あたま」「つくえ」「ひつじ」「くるま」・・・

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structure_english.jpg

英語は1音でひとつの単語になります。
日常会話でつかう基本的な単語は、八割がたが1音節の単語です。
これが英語の出発点です。

それでは、音節のつくりかたを説明します。

英語には母音がいくつあるかご存知ですか。
15個あります。
諸説あるとはいえ、まあ15〜20強として差し支えないでしょう。
そこで、母音を、どれでもいいので、一つを持ってきます。
これが音節の核となります。

手始めに、母音「O」をつかってみることにしましょう。
これは、カタカナで書くならば「オウ」と読みます。
発音記号で [oʊ] と書くことにします。
日本の人はよくオーと言いますが、それは間違いで、「オウ」です。
これからは「オウ」と口にするようにしてください。
オーといわないようにしてください。

これの前に子音を一つくっつけます。
その後にも子音を一つくっつけます。
これで一つの音節(おんせつ)ができあがるわけです。
同時に、一つの〈単語〉ができあがります。

たとえば、[k]という子音を前につけてみましょう。
そして[t]という子音を後ろにつけます。
声に出してみてください。
これで、1音節が完成し、これはそのまま一つの「防寒用上着」という単語になっているわけです。

ちなみに、綴りは「coat」ですが、英語では発音と綴りは同じではないので、そこを考えすぎないように心がけてください。
じっさいの英語と表記、つまり発音とスペルの関係については、第五章でしっかりお話ししますので、そのときにスッキリするはずです。
いまはもやもやすると思いますが、気にせずにどんどん進んでください。

つぎは、アタマに[n]、オシリに[t]をつけてみましょう。
(ちゃんと声にだしてみてください。)

[n] + [oʊ] + [t] = ?

すると、「忘れないためのみじかい文章」という単語が完成しました。(綴りは「note」です。)
このようにして1音節が完成し、しかもそれが1語として成立するのです。

アタマにつける子音と、オシリにつける子音を変えれば、無限大にバリエーションが生まれます。
さきほどもいいましたように、母音は15個あります。
子音は24個あるとかんがえられています。
これで、組み合わせてゆくと1音節だけで無数につくることができるわけです。

この法則だけで果てしなく進むことができます。
これが英語の正体です。
しーんと無音のところへ、たったの一音を発します。
いうならば、打楽器をかるく一回だけ叩くようなかんじです。
するとそこに言葉がうまれ、意味もうまれるんですね。

日本語はちがいます。1音だけでは意味はつくれず、2音や3音(さらにはもっとたくさん)をだしていかないと意味がうまれませんので、つらつらと音をだしてゆきます。
結果的に、川がながれるように音がつらなります。
英語は打楽器をボン、ボン、ボンと鳴らすような言語です。
日本語はムニュムニュと細い音の笛を鳴らすような印象をつくる言語です。

英語では、1音を1音として存在感のある発音をしましょう。
これは本当に大事なことです。
なぜ大事かというとそれが英語だからです。

もうすこしやってみましょう。
声にだしてみてください。英語は声にださなければ意味がありません。

つぎは、アタマに[b]、オシリに[t]をつけてみましょう。

[b] + [oʊ] + [t] = ?

すると、「小舟」という一音節、一単語が完成します。
あ、さきほども言いましたが「オー」じゃないですよ、「オウ」です。忘れないでください。
つぎは、アタマに[s]、オシリに[p]をつけてみましょう。

[s] + [oʊ] + [p] = ?

すると、「せっけん」という一音節、一単語が完成します。

ちゃんと口に出せば、けっして難しくないと思います。
つづりは、いま気にしたくありませんので書きません。
(つづりを気にしちゃうと、これまでの紙のうえばかりの英語学習に逆戻りです。)
それでは、ほかにももうすこし例をあげますので、声にだして実感してください。

まえに [n] うしろに [z] → 鼻という意味になる
まえに [b] うしろに [t] → 小舟という意味になる
まえに [s] うしろに [p] → 石けんという意味になる
まえに [v] うしろに [t] → 投票という意味になる
まえに [h] うしろに [l] → 穴という意味になる
まえに [h] うしろに [m] → 家という意味になる
まえに [g] うしろに [l] → 目標という意味になる
まえに [h] うしろに [p] → 希望という意味になる

こんな感じで、たったの一音節であるにもかかわらず、大量に言葉がつくられてゆきます。

では、母音を交換してみましょう。
アルファベットの一番最初の文字がありますね、「A」です。
これは「エイ」と読みます。
ほとんどの人が「エー」と思っているのですが、そうではなくて「エイ」です。
発音記号では[eɪ]と記すことにしましょう。
その前後にいろんな子音をくっつけてみます。
スペルはどうせご存知でしょうし、今はむしろスペルを忘れてほしいところなので、ひきつづいて省いちゃいます。

前に[k]、うしろにも[k]をつけてください。
口にだしてみてください。
どうですか、一音一単語で洋菓子という意味の言葉になったでしょう。

前に[d]、うしろに[t]をつけてください。
口にだしてみてください。
どうですか、一音一単語で日づけという意味の言葉になったでしょう。

前に[g]、うしろに[m]ではどうですか。
一音として、声にだしてみてください。
遊びという意味の言葉になったでしょう。

前に[g]、うしろに[t]ではどうですか。
門(もん)という意味の言葉になったでしょう。

前に[f]、うしろに[s]ではどうですか。
顔、という意味の言葉になったでしょう。

こんな感じです。
これが英語の音節です。
母音が一つで、前後に子音がくっつく。
これを音で理解してください。
文字で、紙のうえで理解してもダメです。
つまり、自分の口で言えるようになっていただきたいのです。

いま、発音の練習をしているのではないことにご注意ください。
英語の「仕組み」の話をしています。
それは「音としての仕組み」という意味です。
言語というのは文字ではなくて音ですから、「音としての仕組み」などというのは馬鹿げた言いようではありますが。
ようするに「英語の仕組み」です。
くりかえしますが、発音の勉強、ましてや発音記号の勉強をしているわけではありません。
発音記号は、どのように声で読むか念のため書き添えているにすぎません。

そういうわけで、この仕組みが何よりも大事です。

「子音 + 母音 + 子音」 = 1音節

なぜそんなにしつこく言うのか・・・これが英語の土台だからです。
これを理解していなければ、五十音表をしらずに日本語を勉強しているようなものです。
そして、英語は、果てしなくどこまでいってもこればかりです。

どこまでいってもこればかり、というのはどいういうことでしょうか。
二音節の言葉をかんがえてみましょう。
たとえば、サッカーというスポーツがありますね。
これは、英語で「soccer」と書きます。
これは「soc」+「cer」の二つの音節でつくられている単語なわけです。
「子音+母音+子音」が二つ並んでいるのがわかるとおもいます。
ですから、サッカーというのはじつは間違いで、
いうなれば「ソック・カー」なわけです。
一つ目の音節は足という意味です。くつしたのことをソックスというのと同じです。
二つ目の音節は「何々するもの」というような意味です。
そういうわけで「足でやるもの」ってかんじの言葉です。
英語を話している人は「soc」+「cer」と思って発音しているわけですから、
いくら日本人の耳で「サッカー」と聞こえるからといって「サッカー」だと思い込んでしまうと、
実際には誰もサッカーと言っていないわけですから、いつまで経っても聞こえないわけです。
そうなるとリスニングは永久にできるようになりません。
逆に、「どのように言っているのか」がわかれば、リスニングはすぐできるようになります。
リスニングについては、第五講義で本格的にやってみたいと思いますので、たのしみにしていてください。
リスニングの目標は、「知らない単語が聴けるようになる」です。
これができるようになりましたら、世の中の英語がぜんぶ聞き取れるようになるわけです。

音節で分解することなしに単語を知ることはできません。
漢字で言うならば「村」「机」「柱」という漢字は覚えるけれども、「木(キヘン)」というのは習ったことがない・・・。そんな学習法はぜったいにオカシイのです。
なんども書いていますが、「音節をならべる」という考え方ナシに英語を学ぶというのは、ひらがなを知らずに日本語を勉強するようなものです。


さて、話をもとにもどします。
もうお気づきかと思うのですが、音節のしくみにはバリエーションがあります。
とはいえ、母音が一つだけ存在する、ということはかわりません。子音のつきかたが変わるだけです。
子音が無い場合があります。
子音が二つになる場合があります。
パターンはかぎられていますが、子音が三つになる場合もあります。
いちおう書き出してみましょう。

      母音
   子音+母音
   子音+母音+子音
      母音+子音
子音+子音+母音
子音+子音+母音+子音
子音+子音+母音+子音+子音
・・・などなど

母音はひとつで、子音のひっつきかたが変わるだけです。
もっと子音がふえる可能性もあります。
たとえば「strike(野球のストライクまたは労働交渉のストライキ)」という単語でしたら、子音がまえに三つ、うしろに一つ付いています。これで一音節、一単語になるわけです。べつにめずらしいことではありません。

母音 [ei] の前後に子音がこのようについたらどうでしょう。

前に [m] うしろはナシ = ? (五月という意味)
前に [s] うしろはナシ = ? (言うという意味)
前はナシ うしろに [k] = ? (痛み、という意味)
前はナシ うしろに [s] = ? (トランプやさいころの「1」の意味
前に[s]と[t] うしろに [t] = ? (状態という意味。またはアメリカなどの州という意味)
前に[s]と[k] うしろに [t] = ? (滑るという意味)

音節が二つ以上で、さらにあたらしい単語をつくります。

today(今日)= to + day
yesterday(昨日) = yes + ter + day
trumpet = trum + pet
airport = air + port
international = in + ter + na + tion + al (5音節)

英語はぜんぶこれでできているんですよ。
これ以外は無いわけです。
どんな英語の言葉も表現も、会話も名文も、ぜんぶ同じしくみのレンガというのかコロッケというのか、とにかく「音節」をどんどんと並べているだけにすぎないわけです。

いま、理解していただきたいことは、一つ。
《子音+母音+子音》というかたまりで、コロッケのようなものというのか、レンガのようなものというのか、が一つ作られるということです。

さらに、(これが本当に大事なことなのですが)英語は基本的な単語は全部1音節だということです。
下記のような単語が、基本は《子音+母音+子音》でなりたっていることを、自分で口に出してたしかめてください。
スペルにまどわされてはいけません。英語ではスペルは重要ではないのです。
(もちろん、どちらかの子音がない場合や、子音が二つかさなっているものもあります。)

head(頭)、eye(目)、mouth(口)、chest(胸)、leg(脚)、foot(足)などなど
I(わたし)、me(わたし)、you(あなた)、your(あなたの)、he(あの人)などなど
play(遊ぶ)、do(する)、run(逃げる)、jump(跳ぶ)、fly(飛ぶ)などなど
cry(泣く)、laugh(笑う)、smile(ニコッとする)、sad(悲しい)、mad(怒っている)などなど

おつかれさまです!
第一回の講義で学ぶことは、これで終わりです。
簡単でしょう?
このレンガができましたら、それを並べてゆきます。
レンガをどんどん並べていくだけで英語が出来上がってゆくんですよ。
日本語みたいにややこしい「助詞」とか「活用」とか、ほとんど無いわけですから簡単です。
簡単すぎて感動すると思います。楽しみにしていてください。

ただし、初心者のかたは、まだまだレンガに対する慣れが足らないと思いますので、じっくり「1音節が大事」という感覚に、つぎからの講義で慣れてほしいと思います。
そのためには、母音と子音をやっつけなくてはいけません。
むずかしくありませんから、一緒にやっていきましょう!

それでは、第一回の講義のまとめをやっておわりにします。


《まとめ》

おなじことばかり言いますが、下記が英語の土台であるということです。

 ・子音+母音+子音 = 1音節

 ・この原理はこわれることはないが、子音の数でバリエーションがある。子音が無い場合、二つの場合、三つの場合などがある。

 ・1音節で、ひとつの意味をつくる

 ・1音節=1単語 が基本。


これと同じレベルのことを日本語について考えますと、日本語はこのような構造の言語です。

 子音 + 母音 = 1音節(音韻) = ひらがな1文字
 音韻二つか三つ → ひとつの語彙

(上記の根本原則は例外がいくつかありますが、詳細は省略させてください。)
ようするに、日本語とはこういう、もっちりとした団子をたくさん並べていくことで成立します。
日本語(=やまと言葉)の場合は、おおかたの単語は2音節でできています。もちろん1音節や3音節もありますが。
それに助詞がついて、活用して、それでやっと伝えるための言葉になってきます。
「わ」だけでは意味がなく
「わた」でも何のことか分からず、
「わたし」で言葉にはなりますがメッセージにはならず、
「わたしが」まで来て、やっとメッセージになってくるんですね。
ここが英語と大きくちがうところです。
「I」と、たったの1音を発した瞬間に、「わたしが」というメッセージになるわけです。
ですから英語の一音(一音節)というものは、とてもつよい意味をもっている、重い音なのです。だから僕は「レンガ」だと喩えで言いました。

今日はこれで終わりにします。
おつかれさまでした!
つぎからも、さくさくいきしょう。


全15講義の予定を書いておきます。
ぜひ、さいごまでお付き合いください。

第一講義 音節
第二講義 母音
第三講義 子音
第四講義 多音節と文
第五講義 リスニングその1
第六講義 文法その1
第七講義 文法その2
第八講義 リスニングその2
第九講義 日本語と英語
第十講義 越境
Lecture 11 - TBA
Lecture 12 - TBA
Lecture 13 - TBA
Lecture 14 - TBA
Lecture 15 - TBA
Final Exam
Graduation Ceremony


第一回講義「音節」についての質問またはご意見 → こちら
第二回講義「母音」にすすむ → こちら


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